[d!]キミのことが好きで好きでたまらない!! (ページ8)

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私ことAと、目の前の男ロボロは他人以外の何物でもなかった。

否、彼から見れば私たちは恋人らしいが私の方から言わせてもらえば知らない男にある日誘拐され自分達は恋人だ何だといわれて抵抗しない奴がどこにいるというのだろう。
初日の私は意味が分からず何度も逃亡を図り、抵抗を重ねた。しかし重ねれば重ねるほど殴られ、蹴られ、枷を付けられ、どんどん自分の待遇が悪くなっていくことに三日目にしてようやく気付きそれ以来はずっと大人しくするようにしている。偶に失敗して傷ができることもあったが最近はめったにそんなことなくなった。

これからも、未来永劫あなたのそばで、ずっと、ずっと。

なんて思うはずもなく。彼に大人しく従っているふりをし続けてきた私は長年の努力が実を成したのか、今度晴れて枷が外れることとなった。それからしばらくは大人しくして、少ししたら脱出を試みるつもりだ。もううんざりだった。大した付き合いどころか赤の他人の男に愛してるだなんだと地獄の愛撫を繰り返されるのは。心が狂いそうだった。
でもあと少し、あと少しで外に出られる。

だからどうか、どうか私がおかしくなってしまう前に、この地獄の外へ。

………
……
…

ついに、ついにこの日が来た。脱出の日が。

朝十時にロボロを友達の家へと見送り彼がマンションを完全に出て行ったのを窓から確認してから事前に調べておいた鍵の開け方で扉を開錠。瞬時に外へ飛び出した。
久しぶりに浴びる日光は暖かく、気持ちい。キラキラと輝く太陽は誘拐される前によく一緒に遊びに行っていた幼馴染を彷彿とさせた。
一度深呼吸をしてから近くの交番を探すために走り出す。
外に出る前にフリフリのドレスからショートパンツに着替えたから足がとられることはない。全速力で街道を走り抜けた。

走り続けること数分、息が切れて途切れ途切れ歩くことになってしまったが何とか交番が見えてきた。あとすこし、ラストスパートをかけようと一歩足を踏み出した春っ巻誰かに腕を引っ張られ路地裏に連れ込まれた。