NEW WORLD (ページ43)

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12話ページ43

内海さんはハイパーエンプレスを起動させてそれをドライバーに差し込んだ。
だけどハイパーエンプレスは何も音を出さず、反応もしなかった。

「なに！？」

エボルトは内海さんの様子を見て笑うと攻撃をしかけた。
私がその前に行って攻撃を受け止める。

なんで反応しないの…？

『まさか、また失敗！？』

「勝負あったようだな」

内海さんは試しにレバーを回してみているが、待ちくたびれたエボルトは容赦なく攻撃を叩き込んできて私達は遠くへ吹き飛んだ。

パンドラタワーから落ちるスレスレの所に倒れて、一歩、また一歩と近づいてくるエボルトに目を向ける。

万事休すか……そう思った瞬間、ハイパーエンプレスから光が放たれた。

『なに…？』

その光はドーム状の空間を作り出す。
エボルトがその中に入ろうと手を伸ばすと、弾き飛ばされて岩に激突した。

何が起こってるか分からない私達を置き去りにするように、ハイパーエンプレスはドライバーから浮くように外れ、金色の光を放った。

宙に浮くそれの周りにフェニックス、リモコンフルボトル、そしてフェニックスエボルフルボトルが集まる。
私の変身が解けた。

3つのフルボトルはハイパーエンプレスにエネルギーを移すように光の渦に巻き込まれる。

光がおさまる頃、もともと白色だったハイパーエンプレスは紫色になっていた。

フルボトルが地面に落ちてそれを拾い上げる。
私のボトルは全て成分が抜き取られていて、ハイパーエンプレスだけが残った。

「どうやらそれは、君が使うものらしい」

『私が…？』

「桐生戦兎が私に使わせようとしたのは、バットフルボトルとエンジンフルボトルの成分を移し、ハイパーエンプレスを完全の形にするためだろう。これで全ての条件は揃った。見届けよう、君の勝利の瞬間を」

『……私達の勝利ですよ』

微笑む内海さんに私は頷いてハイパーエンプレスを起動させた。
私の脳内に、変身しようと決めたあの日からの葛藤の日々が思い出される。

全て、この時のためにあったものなのかもしれない。
それが今、集大成となって私の力になる。

ハイパーエンプレスをドライバーに差してレバーを回す。
私の周りに薄紫と綺麗な黄金に輝くチューブが現れた。

「Are you ready？」

『変身！！！』

ガシン！と私を包み込むスーツ。
私を囲むように黄金の粒が舞い上がった。

ルークスハイパーエンプレスの完成だ。