冷静に嘘をつきましょう。

10 ページ10

.



「ん....」




スマホのアラームで




頭の奥から覚醒していく感じに




あー、今日も朝が来ちまったかー....
なんて考えつつ




まだ開きたくない瞼を必死に開く。




.......俺、まだ寝てんのかな。




目の前にAがいる。




「......っ！！」




ちょっと待てなんでAがここで寝てんだ！？




昨日自分の部屋に入ってっただろ！？




いやいやいやいや落ち着け俺。




おかげで一気に目は覚めたけど




心臓がドクドクうるさくてしょうがねぇ。




......ヤバい。




当たり前だけど、昨日の格好のまま寝てるし。




......マジでヤバい。




取り返しがつかねぇ事しちまう前に
起きねぇと。




.....だけど、力なく閉じられたふっくらした唇が




俺の目を捉えて離さない。




頬に掛かる柔らかい髪を指で除けて




吸い寄せられるように近付いていく。




何してんだ、って頭では思っても




身体が勝手に動いちまうのが男ってもんで。




気が付いたら




Aの唇に自分の唇を合わせてた。




「......ん、」


「！」




......俺、




ホント、何してんだ......？




「.....ユンギぃ？」


「....お前、なんで人のベッドで寝てんだよ、っ」


「ん〜....？やっぱり寂しくなっちゃってぇ....」




まだ半分寝てるようなAは
ふわふわしてて可愛いけど




自分のした事に動揺してる俺は




悠長にそんな事考えてる場合じゃなかった。




「....自分のベッドで寝ろよ」


「....ん〜、ここで寝かせてぇ....」




......勘弁してくれ。




ってだから俺がベッドから出ればいいんだよ。




「ユンギぃ....」


「っ」




いや待てなんでこうなるんだおい。




「起きるんだから離せ、」




気を抜いてた俺が悪ぃけど





伸びて来たAの腕に捕まってるバカな俺。






「ちょっとだけ....ぎゅぅってして...？」







......誰か助けろ。





.

11→←9

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す