特別な私の皇帝2【野坂悠馬】

髪の結び方 ページ31

試合の前日、急いでタツヤのところに行く。前と同じようなことしてるけど。



「A、どうし…」



『タツヤ！髪ってどうやって結ぶか教えて！』



タツヤにぶつかりそうなくらいの勢いで言う。



「どうしたの…？」



『また野坂が言ってきたんだって！』



「なんとなく分かったよ…。でも、マネージャーさんたちに頼んだ方がいいんじゃ？」



『いいの！タツヤにやってもらって、杏奈たちに見てもらうから』



「そうなの…？できるか分からないけど、やってみるね」





私は髪を結んだことがない。いつもおろしてたし、結び方知らないし。



「できたよ」



鏡を使って確認すると、めっちゃすごい。



『何これすごい！どうやった！？』



「上手にできなかったけど、これ」



タツヤがスマホを見せる。ネットの情報で、書いてあった。



「普通のだとつまらないかな、って思ったからやってみたけど。気に入らなかったらマネージャーさんに頼んで」



『全然！ありがとう、タツヤ！』



私ができないことを初めてでできるタツヤがすごすぎる。私とまるで反対。





「すごーい！！」



「これ、Aさんがやったの？」



杏奈とつくしさんの部屋に行くと、感激してた。



『髪結べないからタツヤにやってもらった。これどうなってる？』



「へぇ〜！Aちゃん、もしかして好きなの！？」



『あ、違いますよ！？ただ昔…』



「頑張って！」



聞いてない…。昔同じ施設にいたからって言おうとしたのに。



「あの、それって編み込みじゃない？」



杏奈はつくしさんのこと気にしてなかった。



『編み込み？』



「それのこと。男の子でできるなんて」



「しかもしかも、ただの編み込みじゃなくてドーナツみたいにくるくるしてあるんだよ！すっごくかわいい！もっと人気が出るね！」



『あ、ありがとうございます…。どうやったらできるようになりますか？』



「それはタツヤくんにお願いするんだよ！頑張ってね〜！」



つくしさんはダメだな…。



「Aさん、本当にタツヤさんが好きなの？」



『だから、違う…』



杏奈が小声で確認する。タツヤはそっちの好きじゃないってば。

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