特別な私の皇帝2【野坂悠馬】

失敗 ページ25

ゴール前までは行けず、途中でシュートをうつ。





やば、ずれそう…！



久しぶりのシュートで、うつ位置がずれかけた。このままだと枠外。



「宮谷！ちょっと加えるぞ！」



威力が弱まりかけたとき、灰崎が私のシュートに蹴りを入れた。



そしたら意外と強いシュートになって、ウズベキスタンキーパーの“忘却のソナタ”を破れた。



『入った…』



「お前ら、連携の必殺技でも作ったらどうだ？」



『絶対嫌！』「誰がこんなやつと！」



提案したヒロトに同時に言う。ヒロトが悪いみたいになっちゃったな。



「自分でやるとか言っておきながらミスするようなやつとなんかやるつもりなんてねーよ！」



『はぁ！？
私だって、仲間を裏切り扱いするやつとなんかしたくねぇし！』



「それはヒロトもだろ！」



『ヒロトはいいんだよ！』



「なんでだよ！」



「お前ら…。なんで言い合ってんだ。
Aさっき言っただろ、喧嘩すんなよ、って。自分で守れてない」



『「ちょっと黙ってろ！！」』



ヒロトに火に油注がれた。今何を言われたってどうしようもない。ヒロトじゃ止められないなこれは。





その後、試合再開のホイッスルが鳴るまでずっと怒ってた。




試合が再開したら、さすがに集中する。私もそこまでバカじゃないから。




野坂はずっと調子良い感じ。危険な攻撃を全部かわしてる。ここに来るまでずっとプレーの仕方を見てたからできること。私を含めみんなじゃ攻撃はよけられないのに。



「月光丸・燕返し！」



野坂の必殺シュートでまた一点を奪い、同点。



『さすがだな、野坂は』



「Aちゃんだってすごいよ」



『それ刺さるんだけど。さっきのダメなシュート見ただろ？全然だ…』



灰崎の言う通りかもな…。自分でやるって言っておきながら失敗するやつって。



「そんなことないよ。誰だって失敗くらいする。
失敗したって成功したって、頑張れば力になるんだ」



「頑張ってね」って励ましてくれる野坂。





そのとき、本気で野坂がカッコよく見えた。

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