My Diary -3 ページ5
｢全く…昔のおめらを見てるようだ。邦坊も勇坊もよく互いにかつけてたっちゃ？｣
訳:｢全く…昔のお前たちを見てるようだ。邦坊(邦治)も勇坊(勇太)もよく互いに人のせいにしてたよな？｣
勇太｢そりゃ否定しねぇけどよ…。｣
この馴染みの爺さんは、昔からの知り合いである。
かなり近所に住んでいたから、忙しい片親がいない時に弟とやんちゃしたらよく叱ってくれた。
自分の子供が既に自立していたせいか、俺たちをまるで自分の子供のように可愛がってくれたのだ。
俺がこの寿司屋を開いた時から、ここは自分の息子の店だと言わんばかりに足繁く通っている。
そして今は空や海も孫のように可愛がってくれている。
空｢行ってきます！！｣
空はムスッとした顔のまま、外に出ていった。
外からガチャッとロックチェーンを外す音がしたので、自分のロードバイクに乗って行くようだ。
｢…おがったなぁ。｣
訳:｢…大きくなったなぁ。｣
勇太｢ん？誰が？｣
｢みんなに決まっとる。空たちもおめもよくここまでおがったおがった。｣
訳:｢みんなに決まってる。空たちもお前もよくここまで育った育った。｣
本当にこの人は父親のようである。
勇太｢…そうだな。｣
俺は呟き、すっと小皿に乗せたマグロの握りを差し出す。
｢おっ、サービスか？｣
勇太｢おう、たまにはな。｣
これは感謝の気持ちを込めてだ、というのは照れくさいから言わなかったが。
｢…ありがとう。｣
それでも、俺の気持ちは多分伝わったのかも知れない。
爺さんは優しい顔をしていた。
言わなきゃわからないことだってそりゃあるだろう。
でも、言わなくても伝わる気持ちだってあるのじゃないだろうか。
あいつらにも、いつかわかる日がくると思う。
そうしたら二人はまた少しだけ大人になるのだろう。
俺はそう思うのだ。
そこまで考えると、俺はもう歳なんだな、とひっそり思った。
｢ごちそうさん。おあいそしてけろ。｣
訳:｢ごちそうさま。会計してください。｣
と、爺さんが席を立った。
勇太｢帰るのかい？もう少し待って2人の姿を見てったらいいのに。｣
俺がそう言うと、
｢帰んねとコロを世話するもんがいねっちゃ。帰ってやらねと。｣
爺さんはそう答える。
今、爺さんは数年前に拾った捨て犬と1人と1匹暮らしなのだ。
勇太｢そっか。気をつけてな。｣
勘定を済ませ、爺さんは店から出ていく。
誰もいなくなった店内はがらんとしてしまって、物寂しくなった。
--切り取り--
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夕凪 翼 - スターライト・マーベル@あやねさん» 最後です。私は何も影響を与えることはできませんでしたが、この作品を書いていたことは後悔していません。コメントありがとうございました。気分を害したことは申し訳ありません。でも、私はこの作品は残しておこうと思います。 (2019年9月9日 19時) (
レス) id: 2a5c51dc40 (このIDを非表示/違反報告)
夕凪 翼 - スターライト・マーベル@あやねさん» 続きです。昨年から私の願いが通じたように弱虫ペダルとツール・ド・東北のコラボが開催されました。もし彼らが弱虫ペダルファンの人が震災を忘れたりしないよう伝えていく架け橋になってくれたら私はこれ以上のことはありません。 (2019年9月9日 19時) (レス) id: 2a5c51dc40 (このIDを非表示/違反報告)
夕凪 翼 - スターライト・マーベル@あやねさん» 続きです。どうか、弱虫ペダルの彼らが走ってくれないものかと考え、出来たのがこの作品と前作でした。これは当時私が二次創作という形で出した復興への願いでした。その願いは変わりません。だから震災の内容を取り扱っています。 (2019年9月9日 19時) (レス) id: 2a5c51dc40 (このIDを非表示/違反報告)
夕凪 翼 - スターライト・マーベル@あやねさん» もう返事もいただけるか分かりませんが…。ログインできていませんが作者です。はい、私は宮城で被災しました。一瞬にして世界が一変してしまった心地でした。この小説を書いていた当時、偶然ツール・ド・東北というイベントが県北で始まることを知りました。 (2019年9月9日 19時) (レス) id: 2a5c51dc40 (このIDを非表示/違反報告)
スターライト・マーベル@あやね(プロフ) - 話はとっても良いのですが、東日本大震災の事が入っていてとても残念です…。作者様は被災者の方ですか？ (2016年3月15日 18時) (レス) id: 9c3de66068 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夕凪 翼(ゆうなぎ つばさ) | 作成日時：2015年4月30日 22時
