【ハイキュー】隣のクラスの星海くん。【星海光来】

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人が少なくなってきて、スペースにも余裕はできてきた。未だ繋がれたままの左手は確かな熱を持っている。



「A、駅からどうやって帰るんだ？」
「えーっと……歩きかな。」
「じゃあ家まで送る。」



光来くんの言葉に驚いて、反射的に「え、いいよ！」と断った。それでも光来くんは「俺がそうしたい。」と首を横にふる。それから少し口ごもったあと、目を合わせて笑った。



「それに、もう少し一緒に居たいし。」



明るい笑顔も、真っ直ぐな言葉も。彼の言動、その全てにどきりとしてしまう自分が恥ずかしい。まるっと1日一緒にいたのに……。

繋いでいる手がより熱を持っていく。私は照れて緩んだ顔を隠すように「じゃあ、お願いします。」と返すのが精一杯だった。



本来光来くんが降りる駅をひとつ通り過ぎ、私の降りる駅で降車する。時刻は7時前、あたりは薄暗く雰囲気を変えていた。

同級生に見られたら、ということで手は離してふたり並んで歩く。話しながら歩けば20分の帰路もあっという間だった。

この角を曲がればすぐ家、そんな場所まで辿り着いて「じゃあここで。」と足を止め、向き合う。薄暗がりの中でも映える真っ白な髪はやっぱり綺麗だ。「そうか。」と少し寂しそうに微笑んだ彼に、何だか途端に寂しくなった。



「あの、光来くん！」



気づくと彼を呼んでいた。不思議そうにどうした、と首を傾げる彼。あまりに反射的で自分でも自分の行動に驚いているけれど、浮かんだことを素直に伝える。



「今日1日凄く楽しくて……もっと、もっと光来くんのことを知りたいって思えた！……誘ってくれて本当にありがとう。」



唐突な私の言葉に、光来くんは大きく目を見開いて立ち尽くしていた。あまりに彼からの反応がないものだから、私の言葉は何か可笑しかっただろうかと不安になる。



「こ、光来く、」
「俺も！」



私の言葉を遮った彼が少しの口ごもって、真剣な目で言う。



「今日1日でもっとAのこと好きになった。いつか絶対、同じ気持ちにしてみせる。」



恥ずかしかったのか、光来くんは言い終わるや否や背を向けた。「じゃあ、気をつけて帰れよ！」と言い残して足早に去っていく。その姿を私は暫く見つめていた。


まだ、好きになったわけじゃない。それでも今日の1日は、彼をより男の人として意識するには十分過ぎる1日だったように思う。

顔の熱が一向に引かないのも、彼の顔が離れないのも……全部不慣れなせい、のはず。

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