第２０８話 ページ8
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日本の勝利まで残り3球という最終局面。遠山もドルギアスも譲らない試合展開を繰り広げており、観客達はその試合に引き込まれすっかり会場は熱を帯びていた。
ドルギアスの打った球がネットにかかって自身のコートへ落ちる。あと2球、そんな状況での2人のテニスは見ている者を奮わせた。
「……何か楽しそうですね、2人とも。」
「ふふ……本当にね。」
2人のテニスは勝利という使命感など背負っていないようにみえる。ただ純粋に、お互いとのテニスを楽しんでいるらしかった。重圧など感じず純粋にテニスを愛し、楽しむ……それは簡単な様でそうではない、一種の才能。
それが少しうらやましくて、Aは眉を下げながら笑う。つくづく彼らは自分に無いものばかりを持っている。その事実はやっぱり悔しいけれど、それ以上に強く触発されるのだ。
ラリーの中、ドルギアスの打った球が上手く遠山の逆をついた。到底届き得ないであろうその距離は普通は見逃す……それでも、遠山はそうはしなかった。誰もが届かない、無謀だと思うそのボールを追いかけ、しっかりと捉える。
「世界一のテニスプレーヤーになるんはワイやぁーっ！！」
高らかに宣言し、遠山はしっかりボールを打ち返した。ドルギアスも負けじと喰らいつき、どうにか返ってきたボールをラケットに当てるも大きく上がる。落ちる場所はラインの外だ。
これで遠山のマッチポイントになる――誰もがそう思った。ボールが上空に居た"鳥"にあたるまでは。
ボールは鳥とともに落下する。そしてそのボールが落ちたポイント、それはラインの内側だった。
「え……っと、鳥などに当たった場合は無効でしたっけ？」
「うん。そうだけど……珍しいこともあるものだね。」
入江は顔を引きつらせて笑っている。確かにかなりのレアケースで、実際Aも動揺を隠せなかった。プレーのやり直しについて審判に告げられた後、「せや、鳥さんは！？」と遠山は慌てて鳥のほうを確認する。
「……もういい、お前の勝ちだ。遠山金太郎。……そう、お前らのな。」
ぐったりとうなだれる鳥を抱えて、ドルギアスはそっとコートを後にした。
経緯はどうあれ、結果としては3勝0敗。鬼の出る幕はなく、中学生達のみでオーストラリアに勝利した。これでグループリーグ2勝、予選突破への大手がかかった。
明日のスイス戦で全ては決まる。出るのは大将平等院率いる精鋭揃いのチーム梅だ。
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紗菜 - アニメがまた、スタートするのでこちらも更新されるのをお待ちしています。 (2月15日 19時) (
レス) id: c2a2213ca9 (このIDを非表示/違反報告)
ちあき - 続きが楽しみです (2021年9月22日 0時) (レス) id: 09253d858e (このIDを非表示/違反報告)
甲賀忍者(プロフ) - 素晴らしい作品！夢主ちゃん格好可愛いすぎます！ (2021年1月3日 15時) (レス) id: 0e780aa7b5 (このIDを非表示/違反報告)
巫和泉(プロフ) - コメント失礼します！読んでいて，とても面白かったです！更新楽しみにしてます！ (2020年1月4日 18時) (レス) id: c314aa38cf (このIDを非表示/違反報告)
白雪(プロフ) - 更新待ってます!続きが楽しみです。 (2019年11月7日 8時) (レス) id: 567a821487 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：赤兎リエ輔
| 作者ホームページ：http://nekomoti
作成日時：2019年3月18日 0時
