275羽 ページ28
・
・
翌日、影山もまだ完全にこそ慣れていないものの、少しづつ選手達とのコミュニケーションをうまくとり始めるようになった。
今のトスはどうだったか。直したほうがいいところはどこか。馬鹿正直に、素直に、率直にそれだけを聞く姿にAも呆れ笑いがこぼれる。……まあ、そういう類の馬鹿はやっぱり嫌いじゃない。
そんなことを考えていると目の前で繰り広げられているゲームで影山がネットギリギリのボールに喰らいついている姿が目に入った。しかしそれは結果的に叩き落されてしまう。
「ネット越え、」
「ネット越えるくらいならAパスは意識しなくていいと思いますよ。あと飛雄はもっと構える位置ネットから離れてていい。」
火焼の言葉を無意識にさえぎったA。それはまさに自分が言おうとしていたことであり、的を得ていたことであったので、火焼は何も言わずに少しだけ笑った。
・
・
少しゲームが流れる。それをノート片手に見ているうちに、とある人物にトスが上がったのに目がいった。しっかり助走し、いざ踏み切ろうとしている170に満たない小さな男……Aの視線の先に居たのは星海だった。
きゅっ、っと体育館の床にシューズをこすりつけるように踏み切り、思いっきり跳躍する。その高さに、Aは思わず息を呑んだ。
豪快な音を立てて決まったスパイク。誰もがその高さに驚愕した。
「(翔陽をはじめてみたときを思い出す……まあ翔陽より全然飛んでるし技術も……。)」
もしも彼と全国の舞台で当たったら。そう考えて、そこで考えるのをやめた。先のことを考えるなんてまだ早い。今は今できることを考えるべきなのだ、と。……ただひとつ。理解できたことがあるとすれば。
「(翔陽よりも、和久南の人よりも。誰よりも小さな巨人に近いのは……この人だろうね。)」
・
・
「今日は調子良かったんじゃない?」
「あぁ……まあ、悪くはなかったな。」
Aが影山のストレッチを手伝いながらだべっていると「おい。」と声をかけられる。そこには星海の姿があった。その目線は主に影山に向いているようだ。
「(ほんっとコイツ人寄せ集めすぎ……。)」
・
・
369人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さりあ(プロフ) - 古森くんと佐久早くんの番外編のお話がちょっと見当たらないのですが番外編part2にありますか??お話がすごい気になります!! (2021年7月31日 1時) (レス) id: bfe73c86d0 (このIDを非表示/違反報告)
柿の種梅しそ味(プロフ) - すみません。なんか…話数違いません?なんか重なってる… (2019年12月23日 16時) (レス) id: c64161dde0 (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - ざらめ煎餅さん» とーっても嬉しいお言葉ありがとうございます!面白いだなんて畏れ多い…!凄く励みになります…!御期待、応援に添えるよう精一杯頑張らせていただきますので、どうぞこれからもご愛読いただければ幸いです(*´ω`) (2017年4月2日 20時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - tenipuri3rdさん» やっと続きを更新できます・・・!お待ちいただいてありがとうございました!楽しみにしていただけているようでなによりです(*´ω`) 恋愛のほうは正直行き当たりばったりですのでなにもかもが未定ですwそれでもこれからも楽しみにしていただければ幸いです! (2017年4月2日 20時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
ざらめ煎餅 - すっごく面白いです。更新頑張って下さい(`_´)ゞ (2017年3月31日 1時) (レス) id: 233c1dd62c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:赤兎リエ輔 | 作者ホームページ:http://nekomoti
作成日時:2016年12月23日 21時