薄桜鬼 〜氷雨の幻〜 三章

109　千姫side ページ18

〜千姫side〜

一時がたった。気持ちは落ち着かず、どこかそわそわしている。

――その時だった。
ふわりと風が少しだけ入ってくる。



菊｢姫様、ただいま帰りました」

……やはりお菊だ。

千姫「お帰り、お菊、何かわかったかしら？」


菊｢はい、あの浪士風体の男たちは長州の脱藩浪士です」

千姫｢一体何を……」

菊｢………どうやらA様を探しているようでした」

千姫｢っ！？」



やはり……あの浪士たちは
昔Aちゃんを連れていった男たちなの……？


菊｢…ひどいものです……。羅刹をつくるような道具がたくさんあり、
　 人体実験をしてました」


お菊が苦虫を噛んだかのような表情をする。
浪士は何をしていたのかしら……


菊｢少し太めの針を人間に刺したり、傷口から紫色の液体を注いだり…
　―――ですがそうされた人間は息を引き取り、浪士たちは『やはりあの少女を探さなければ』と
　 いうようなことを言っておりました。『血がもうない』など……

　 話に出てきた少女は、あとの会話を聞く限りおそらくA様のことでしょう」


そこまで言うと、お菊は黙った。
…どうやら話はここまでのようだ。



千姫｢……報告、ありがとうお菊」

菊｢――いえ」


このこと、Aちゃんに
いっておかなきゃ……。






　

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