葛藤する者達 ページ8
会場へ到着してまもなく、日本代表メンバー達はゾロゾロとバスから降り、流れるように施設内へと足を踏み入れた。
その流れから一人そっと離れていった一星を、しっかり睡眠を取り直し覚醒しきった御剣は見逃さなかった。
｢……風丸、ちょっと抜ける。試合前には合流するって皆に言っといて。｣
｢おい、どこ行く……ってもういない。｣
一星の後を追い、颯爽とその場を離れていった御剣の背を見送る間もなく取り残された風丸はため息をひとつつき、風に流れていた青い髪を翻して行き慣れつつある控え室へと足を向けたのだった。
＊
一人姿をくらませた一星の後を追い、再び場外へと飛び出してきたのだが、肝心の彼の姿を見失ってしまった。
｢バックれ……ないか。｣
今まで失敗を重ね続けたであろう一星にはもう、あとが無いはずだ。後がないのに戦線離脱というのは、実質自滅行為……成果をあげることすら放棄したならオリオンは真っ先に一星を切り捨てるだろうし、それが分からないほど彼も馬鹿じゃない。
……――どういうつもりだ一星、何故やらなかった。
……――や、やりましたよ!!信じてください!!
ふと、建物の影にあたる方面から、そんな話し声が聞こえた。
後者は一星のものだ。いつになく焦っている様子が声だけでも十分に伝わる。
前者は全く聞き覚えのない男声。少々嗄れていることから察するに、老人、とまではいかなくともそこまで若くない人物……厳格な物言いと一星の態度から察するに、恐らくオリオンのトップ……ギリカナンだ。
気配を潜め、壁に張り付きながら耳を澄ませる。
鼻と口を手で覆い、呼吸音を極力抑えながら、足音、衣擦れの音にも気を使い、こちらの姿が見えないギリギリまで距離を詰めていく。
｢ボタンを押したけど何も起きなかったんです!!｣
｢……見苦しい言い訳だな。｣
｢……っ、｣
｢忘れてないだろうな、この試合にはお前の弟の命が懸かっていることを。｣
｢……任せてください、この試合で必ず、イナズマジャパンを敗退させてみせますから!!｣
一星と男の会話はそこで途切れた。
……これは、思っていたより相手が厄介だな。
一星の今の状態を利用して彼を精神的に支配している。拳をぐ、と強く握り、一星の苦しそうな宣誓を思い出す。
彼のやり方が手緩かったのは、傷つける覚悟がないからじゃない。取り返しのつかない事態……過去の事故がトラウマになってるのもあるだろうが、そもそも本来備わっている良心が耐えきれないんだ。
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moeka(プロフ) - 続きの更新がなくて寂しいです。更新してくれたら嬉しく思います。楽しみに待ってます。 (2022年2月19日 19時) (
レス) @page50 id: e9f0e4b4b1 (このIDを非表示/違反報告)
紅乱 - 御剣さん誕生日おめでとうございます！こんなにログイン出来ないの悔しいって思ったの初めてかもしれない…これからもずっとゆきさんと御剣さんを応援しています！！ (2019年6月14日 16時) (レス) id: 649e22ca45 (このIDを非表示/違反報告)
Rin?^^*(プロフ) - 御剣さん本当に好きです！この先の展開も予想がつかずいつも楽しみにしています！更新待ってます、頑張って下さい！ (2019年6月9日 21時) (レス) id: ed59144b66 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - ろーださん» へァ?!!!!!!!本当ですか……?!!!うちの子が人様のご縁になるとは……!!こちらこそうちの子を出会いのきっかけにして頂いて、ありがとうございます!! (2019年4月19日 17時) (レス) id: 05b431dc35 (このIDを非表示/違反報告)
ろーだ(プロフ) - 聞いてください、ゆきさん！御剣さんの話題で友達ができました！これも、御剣さんの生みの親であるゆきさんのお陰です！！これからも、更新頑張ってください！！！ (2019年4月19日 15時) (レス) id: b040f787bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆき | 作成日時：2019年2月13日 20時
