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粗方の話を聞き終えた風丸は、同室の基山に"少し走り込んでくる"と早口で言い残し勢いよく自室を飛び出した。
……なんだよそれ、"いなくても"なんて、いいわけねぇだろ…!!!
御剣の自室の扉の前に辿り着くと、三回程少々乱雑なノックの後彼女の名前を呼ぶも、返事は返ってこなかった。それに血の気が引きつつ、叱りは後で死ぬほど受ける覚悟で主の許可無しで扉を開いた。
｢……!!｣
以前訪れた時と何ら変わりなく資料と機械とで溢れそうな部屋であったが、等の主はそこにはおらず、もぬけの殻となっていた。
ベッドの上に御剣のものと思われる端末を見つけ、それを手に取る。電源は入っておらず、彼女が自らの意思で姿を消したことがわかる。端末を握る手に僅かに力を込めつつ、早急にその場を後にした。
――アイツ、"自分がいなくてもこのチームはもう大丈夫"とか抜かしやがったんだ。
……佐久間に伝えられたその言葉が嫌に離れない。
だって、御剣は一番最初に言った筈だ、"ずっと、こんな時を待ってた"って。
――やっと"お前達と一緒に"ちゃんとサッカーできるんだし、一年少しの間燻ってたものがやっと晴れるかと思うと、嬉しくもなるっての。
そう、心から嬉しそうに笑っていた御剣の姿を思い返す。本当に嬉しそうに、この上なく幸せそうに笑っていたのだ。見惚れる程に可愛らしく、見ているこちらまで嬉しくなるような春の陽光が差すようなあの笑顔が偽物なら、もう俺は何も信じられなくなる。
青き疾風は駆ける。誰よりも傍に居たいと心から望んだ少女を、泣かせない為に。
……宿舎内は全て探した。なら後は、人目のつかない……例えば、グラウンド横の林とか。
そう目星をつけるや否や、即そちらの方向へと足を向けた。すると風丸は、生い茂る雑草や木々に紛れて、やけに線が真っ直ぐでひらひらと風になびく、自然の中では違和感のある物体を暗がりの中視界に捕えた。
端末の灯りで周辺を照らし、その物体の正体を探ると、それが枝に引っ掛けられた黒いリボンであることが分かった。……御剣のトレードマークであるもので間違いないだろうそれを、傷まないように丁寧に枝から解き、それを数十秒ほどじっと見つめた。
……間違いない、この近くに御剣はいる。
灯りを頼りに周囲を見渡し、聴覚も最大限に研ぎ澄まし、人の気配を探る。心臓が嫌な緊張感に脈を早めるのを感じつつ、風丸はとうとう少女に辿り着いた。
……但し、その場にいたのは御剣だけではなかった。
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moeka(プロフ) - 続きの更新がなくて寂しいです。更新してくれたら嬉しく思います。楽しみに待ってます。 (2022年2月19日 19時) (
レス) @page50 id: e9f0e4b4b1 (このIDを非表示/違反報告)
紅乱 - 御剣さん誕生日おめでとうございます！こんなにログイン出来ないの悔しいって思ったの初めてかもしれない…これからもずっとゆきさんと御剣さんを応援しています！！ (2019年6月14日 16時) (レス) id: 649e22ca45 (このIDを非表示/違反報告)
Rin?^^*(プロフ) - 御剣さん本当に好きです！この先の展開も予想がつかずいつも楽しみにしています！更新待ってます、頑張って下さい！ (2019年6月9日 21時) (レス) id: ed59144b66 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - ろーださん» へァ?!!!!!!!本当ですか……?!!!うちの子が人様のご縁になるとは……!!こちらこそうちの子を出会いのきっかけにして頂いて、ありがとうございます!! (2019年4月19日 17時) (レス) id: 05b431dc35 (このIDを非表示/違反報告)
ろーだ(プロフ) - 聞いてください、ゆきさん！御剣さんの話題で友達ができました！これも、御剣さんの生みの親であるゆきさんのお陰です！！これからも、更新頑張ってください！！！ (2019年4月19日 15時) (レス) id: b040f787bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆき | 作成日時：2019年2月13日 20時
