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｢……もう、雰囲気も何もなくなっちゃったじゃんか。ほら、これ!!｣
ええいままよ、と勢いに身を任せ、本来の目的を達成しにかかる。
紙袋をぐいっと風丸の胸元に押し付けると、反射的にか、それを両手でしっかりと受け取られる。
｢……？ これは……??｣
きょと、と目を瞬かせ、こちらと紙袋を交互に見比べる風丸。その顔かわいいからやめて……じゃなくて、どうやら本人がそもそも忘れているらしい。
やれやれ、とため息をひとつ。
｢今日、お前誕生日でしょ。何自分で忘れてるのさ……｣
｢……？ ―――… ……!!｣
暫しの沈黙。手元を一度凝視し、視線を私に戻し、そして漸く渡された物の意味を理解し、今度は先ほどよりもさらに大きく目が見開かれる。
｢え、御剣、俺の誕生日覚えて……｣
｢……まぁ、何だかんだ付き合い短くないし。大したものじゃないので変に期待はしないように。｣
｢……中、見てもいいか？｣
｢別にいいけど……｣
目の前で渡したものを開封されるというのは、何故だか少々照れくさいもので、思わず体ごと視線を他所へ向ける。我ながら可愛げのない。
丁寧に包装を剥かれ、中から姿を見せた赤と黒のタータンチェックのマフラー。
｢その髪型だと、この時期首元寒いでしょ。だから、実用性のあるものにしてみました。｣
｢これ、触り心地いいな……着けよう。｣
｢肌に当たるものだし、そこは拘った。｣
｢……ありがとう御剣。これ、大事にするな。｣
｢気に入ってもらえたなら僥倖、せいぜい大事にしてくれ。｣
本当に、心底嬉しそうに表情を緩められたものだから、こちらまでつられて頬が緩む。
目的は達したので、さぁとっとと帰ろう、と風丸に背を向けたが、ふと重大なミスに気づき、咄嗟に踵を返した。
｢あ、そうそう、肝心の言葉を言っていなかったね。
……――誕生日おめでと。今年一年も、その
＊
風丸さん誕生日記念。
本当は当日に書きたかったけど、試験勉強の方が忙しかったので泣く泣く断念。絵は書いた。
生存報告も兼ねて筆を取らせていただきました。
マフラーをプレゼントであげるのって良い意味も悪い意味もあるんですが、後者は今回目を瞑って……
風丸さん誕生日おめでとうございました……
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弓女雅零(プロフ) - こっちにも来ちゃいました(笑)やっぱりこの小説好きですっ！！ (2019年2月25日 17時) (
レス) id: fc748f73ac (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - リアトさん» リアトさん、はじめまして！コメントありがとうごさいます！ご指摘ありがとうございます！確認次第訂正いたします！ (2019年2月15日 20時) (レス) id: a67af18030 (このIDを非表示/違反報告)
リアト(プロフ) - こんばんは。いつも展開をドキドキしながら読ませて頂いてます。ところで誤字報告を少し。>「確かに何人か俺にチョコらしきものを私に来た女子がいた。」これは「渡し」ではないかと思いまして報告させて頂きました。次話、お待ちしております。 (2019年2月15日 20時) (レス) id: 809030045e (このIDを非表示/違反報告)
七瀬真昼 - 分かりました！！というか返信してくれてありがとうございます！毎回毎回ご丁寧に…。私だったら返信しないまま放置ですよ多分。そういえばふと思ったんですが、次のイナオリで子文くんの正体が明らかになりますよね！見当ついてるけど…ゆきさんは分かりますよね！ (2019年1月27日 17時) (レス) id: 60ce0b2030 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 七瀬真昼さん» 七瀬さんコメントありがとうございます！リクエスト、大変ありがたいお話なのですが、私事で大変申し訳ないのですが、モチベの関係で受け付けてないんですよ…本当にごめんなさい…でもバレンタインのお話は元々書く予定でしたので、そちらの方を是非見て頂ければ… (2019年1月27日 17時) (レス) id: a67af18030 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆき | 作成日時：2018年12月17日 23時
