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無印・FF編 時すでに遅し ページ22

その人は、男子でありながらもまるで女神のようだった。
透けるような金糸の長髪、神気を帯びたような赤い瞳、無駄という無駄を一切知らないようなしなやかな体躯、神より賜ったようなその美しさは"アフロディ"と呼ばれるのにふさわしかった。

しかし彼は、そんな容姿を尽く裏切るように私たちの目の前で超人的なまでのパワーとスピードを見せつけた。
あの円堂をいとも容易く、ただのノーマルシュートでねじ伏せたその力は人のものであるかすら疑わしい。

あまりの光景に、私は思わずアフロディの姿を直視してしまう。すると、向こうがそれに気づいたのかばちり、と視線がかち合う。

「……」

そろり、と私は目を逸らすが、向こうからの視線が止まない。
見られてる。めっちゃ見られてる。というか、足音がどんどん近づいてきて……あれ、こっちに来てる?
周りがざわついて、心做しか私の周りから距離を取られてるような……

再び視線をアフロディの方へ戻すと、やはり彼はこちらに近づいてきていて、私の目の前……間隔にして約20センチほどの至近距離で立ち止まり、こちらを観察するように見つめていた。

「なんですか、人の事ジロジロと。」
「……御剣Aさん、だね。」
「ええ、それが何か?」
「フフ、聞いていたよりもずっと美しい。」
「はぁ……そりゃどうも。」

なんだこの女神(男)、唐突に口説いてきたぞ。
あまりにも急な展開に思わず呆気に取られていると、流れるように、至って自然な仕草でするりと手を取られた。

「えっ」
「君のような人は、こんな所で埋もれていては勿体無い。僕達の側へ来ないかい?」

……はい?この駄女神(ダメがみ)(男)今なんて?

さらなるどよめきが起こる。ぐるりと周りを一周見回すと、誰も彼もが揃いも揃って目を見開き、驚愕のみを表に現していた。

「いや、意味がわからない……」
「言葉のままだよ。世宇子においでよ、御剣さん。」
「うん、そういうことじゃないんだわ、まずね、この手何。」
「ん?いや何、スキンシップというものは大事だろう?」
「自称神からスキンシップとかいう言葉聞きたくなかった……ていうか離せ、そしてそこそこ近いんだわ。」

いや、本当にそろそろ離せよ。
心做しか徐々に距離が近くなってる気が、そしてなんか背中に手が回されているような。
いやいやこれはちょっと宜しくない、スキンシップなんてレベルじゃない。
さすがにこれ以上はダメだ、と右足に力を込め離脱……しようとした時だった。

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弓女雅零(プロフ) - こっちにも来ちゃいました(笑)やっぱりこの小説好きですっ!! (2019年2月25日 17時) (レス) id: fc748f73ac (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - リアトさん» リアトさん、はじめまして!コメントありがとうごさいます!ご指摘ありがとうございます!確認次第訂正いたします! (2019年2月15日 20時) (レス) id: a67af18030 (このIDを非表示/違反報告)
リアト(プロフ) - こんばんは。いつも展開をドキドキしながら読ませて頂いてます。ところで誤字報告を少し。>「確かに何人か俺にチョコらしきものを私に来た女子がいた。」これは「渡し」ではないかと思いまして報告させて頂きました。次話、お待ちしております。 (2019年2月15日 20時) (レス) id: 809030045e (このIDを非表示/違反報告)
七瀬真昼 - 分かりました!!というか返信してくれてありがとうございます!毎回毎回ご丁寧に…。私だったら返信しないまま放置ですよ多分。そういえばふと思ったんですが、次のイナオリで子文くんの正体が明らかになりますよね!見当ついてるけど…ゆきさんは分かりますよね! (2019年1月27日 17時) (レス) id: 60ce0b2030 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 七瀬真昼さん» 七瀬さんコメントありがとうございます!リクエスト、大変ありがたいお話なのですが、私事で大変申し訳ないのですが、モチベの関係で受け付けてないんですよ…本当にごめんなさい…でもバレンタインのお話は元々書く予定でしたので、そちらの方を是非見て頂ければ… (2019年1月27日 17時) (レス) id: a67af18030 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆき | 作成日時:2018年12月17日 23時

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