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同じ人間が二人もいては何かしらの歪みが生じる。
それを避け、自分たちが必要とした"私"を本物とするために、オリジナルを消した。正しくは、オリジナルを一度拉致して色々弄ったのだろう。
……だが、不都合が起きた。消される前の私をフェイとアルノ博士がギリギリで引っ張りあげ、結果として、私が同じ時系列に二人いる状態になってしまった。
だからエルドラド……いや、きっと彼女自身の意思で、私を今度こそ消し去ろうと追いかけてきたわけだ。

「つまり、彼女もまた、正真正銘の御剣Aなんだ。」
「うーん、分かったような、わかんないような……」

西園が首を傾げて必死に内容を整理して理解しようとしている。小柄な彼の頭にぽん、と掌をのせ、私は、あんまり深く考えなくていいよ、と気楽に告げた。

「まあ、確かに私だけど、私じゃないというか……」
「?でもAさんさっき……」
「別々の肉体を持って、別々の意思を持ったならば、もうそれは別の人間ってこと。まあ、顔とか声とかよく似た双子だと思えばいい。」

とにかく、どうせサッカーで蹴りをつけられるならその方が都合がいい。だって、彼女が私ならば、サッカー以外の実力行使でこられたら私はともかくとして、こいつらは絶対に歯が立たない。……最悪怪我人だけじゃ済まない。

「……話し合いはここまで。彼女の事はフィールドで分析することにする。」





ユニフォームに着替え、フィールドに立つ。
隣に並ぶ神童に、ひとまず私と彼女を一騎打ちにさせて欲しい、と頼む。
それに暫し検討する素振りを見せたが、やがて首を縦に降り、わかりました、と承諾してくれた。


試合開始のホイッスルが鳴る。
神童に頼んだとおり、ボールは私の元へと運ばれ、彼女以外の選手は他の連中が押さえ込んでくれていた。
真っ直ぐに彼女に突っ込んでいくと、彼女はニヤリ、と怪しく笑い、何やら構えた。
まさか、と思った時は既に遅く、彼女の背後には、青と黒の影が伸びていた。

「……う、そ。」
「"弁財天、サラスヴァティー"。……フフ、嘘に見えるか?」

おぞましい程に美しい女神がそこにいた。二本の鋭い棘を足に備えており、ベルトに拘束されているような黒の装束に身を包んでいた。
サラスヴァティー、それはインド神話における水の女神の名前だ。
私が驚愕したのはそこではない。……私をオリジナルとしたなら、何故私に発現していないはずの化身が使える(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

・→←GO・クロスト 自我の化身



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弓女雅零(プロフ) - こっちにも来ちゃいました(笑)やっぱりこの小説好きですっ!! (2019年2月25日 17時) (レス) id: fc748f73ac (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - リアトさん» リアトさん、はじめまして!コメントありがとうごさいます!ご指摘ありがとうございます!確認次第訂正いたします! (2019年2月15日 20時) (レス) id: a67af18030 (このIDを非表示/違反報告)
リアト(プロフ) - こんばんは。いつも展開をドキドキしながら読ませて頂いてます。ところで誤字報告を少し。>「確かに何人か俺にチョコらしきものを私に来た女子がいた。」これは「渡し」ではないかと思いまして報告させて頂きました。次話、お待ちしております。 (2019年2月15日 20時) (レス) id: 809030045e (このIDを非表示/違反報告)
七瀬真昼 - 分かりました!!というか返信してくれてありがとうございます!毎回毎回ご丁寧に…。私だったら返信しないまま放置ですよ多分。そういえばふと思ったんですが、次のイナオリで子文くんの正体が明らかになりますよね!見当ついてるけど…ゆきさんは分かりますよね! (2019年1月27日 17時) (レス) id: 60ce0b2030 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 七瀬真昼さん» 七瀬さんコメントありがとうございます!リクエスト、大変ありがたいお話なのですが、私事で大変申し訳ないのですが、モチベの関係で受け付けてないんですよ…本当にごめんなさい…でもバレンタインのお話は元々書く予定でしたので、そちらの方を是非見て頂ければ… (2019年1月27日 17時) (レス) id: a67af18030 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆき | 作成日時:2018年12月17日 23時

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