検索窓
今日:6 hit、昨日:2 hit、合計:24,914 hit

GO・クロスト 自我の化身 ページ2

突如私たちの目の前に現れたのは、プロトコルオメガのユニフォームを纏った一人の少女であった。
その少女の姿に、私含め、雷門イレブンは驚愕と動揺に支配されていた。

……その姿はそっくりどころか、色合いを除けばまるで私そのもの(・・・・・)だった。
周りの光の反射を受けてようやく色を保てているかのような髪、病的なまでに真っ白な肌、熱を一切灯さない鋭い金の瞳、色だけで見るなら全くの別人と呼べたのだろうが、その色を宿すカタチは、御剣Aそのものであるかのようだった。

……否、まるで、ではなかったのだ。


「……え?」
「Aさんが、二人……?!」
「いや、でも向こうの方は髪とか目とか、全体的にこう、更に色が薄いというか……」

一人、また一人と心のままに呟くと、次第に動揺と混乱でひしめき合ってきた。
それを背後に、私は未だに状況が飲み込めていなかった。
向こうの"私"と視線がかち合う。怪しげに輝く金色から目が逸らせない。すると、向こうの方からこちらに歩みよってきた。

彼女は私の目の前に立ち塞がると、はじめてその唇を動かした。

「……フフ、何が起きてるのかわからない、といった顔つきだな、"オリジナル"。」
「……?!」

オリジナル、確かに今彼女はそう言った。
それはつまり、

「あなたは……お前は一体何者だ!!」

私の姿をした何者かに未だ動揺しつつ、口調を強めに神童が一歩前へ踏み出し、私よりも前へ躍り出た。

「何者か、だと?見てわかるでしょう……私はお前達が先輩と呼ぶそいつだ。」

神童の言葉に愚問だ、とでも言うように気だるげな表情を浮かべながら、す、と緩やかな動作で白い指を私の方へ向けた。

「……よくわかった、要は私が招いた面倒事ってわけね。まったく味な真似を……その格好ってことは、エルドラドからの刺客ってことか。……よりによって私に"私"をけしかけるなんて。」

私が一番向き合うことを嫌う相手をぶつけてくるとか、喧嘩を売られたとしか思えない。
ならば、私がそれを買うしかない。
皆の方に向き直り、深く頭を下げた。それに一気にどよめく後輩達を代表して、神童が私に頭をあげるよう促した。

「皆ごめん、私の落ち度だ。」
「そんな、先輩謝らないでください……!!」
「……なんとなく分かったんだ。なんで私の存在が消されたか。」

多分、あの"私"がいるからだろう。
あの"私"を"本物の私"に置き換えるために、私を消したんだ。

・→←GO・クロスト 先導者



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (31 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
75人がお気に入り
設定タグ:短編 , イナイレ , 風丸一郎太
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

弓女雅零(プロフ) - こっちにも来ちゃいました(笑)やっぱりこの小説好きですっ!! (2019年2月25日 17時) (レス) id: fc748f73ac (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - リアトさん» リアトさん、はじめまして!コメントありがとうごさいます!ご指摘ありがとうございます!確認次第訂正いたします! (2019年2月15日 20時) (レス) id: a67af18030 (このIDを非表示/違反報告)
リアト(プロフ) - こんばんは。いつも展開をドキドキしながら読ませて頂いてます。ところで誤字報告を少し。>「確かに何人か俺にチョコらしきものを私に来た女子がいた。」これは「渡し」ではないかと思いまして報告させて頂きました。次話、お待ちしております。 (2019年2月15日 20時) (レス) id: 809030045e (このIDを非表示/違反報告)
七瀬真昼 - 分かりました!!というか返信してくれてありがとうございます!毎回毎回ご丁寧に…。私だったら返信しないまま放置ですよ多分。そういえばふと思ったんですが、次のイナオリで子文くんの正体が明らかになりますよね!見当ついてるけど…ゆきさんは分かりますよね! (2019年1月27日 17時) (レス) id: 60ce0b2030 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 七瀬真昼さん» 七瀬さんコメントありがとうございます!リクエスト、大変ありがたいお話なのですが、私事で大変申し訳ないのですが、モチベの関係で受け付けてないんですよ…本当にごめんなさい…でもバレンタインのお話は元々書く予定でしたので、そちらの方を是非見て頂ければ… (2019年1月27日 17時) (レス) id: a67af18030 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ゆき | 作成日時:2018年12月17日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。