GO・クロスト 自我の化身 ページ2
突如私たちの目の前に現れたのは、プロトコルオメガのユニフォームを纏った一人の少女であった。
その少女の姿に、私含め、雷門イレブンは驚愕と動揺に支配されていた。
……その姿はそっくりどころか、色合いを除けばまるで
周りの光の反射を受けてようやく色を保てているかのような髪、病的なまでに真っ白な肌、熱を一切灯さない鋭い金の瞳、色だけで見るなら全くの別人と呼べたのだろうが、その色を宿すカタチは、御剣Aそのものであるかのようだった。
……否、まるで、ではなかったのだ。
「……え?」
「Aさんが、二人……?!」
「いや、でも向こうの方は髪とか目とか、全体的にこう、更に色が薄いというか……」
一人、また一人と心のままに呟くと、次第に動揺と混乱でひしめき合ってきた。
それを背後に、私は未だに状況が飲み込めていなかった。
向こうの"私"と視線がかち合う。怪しげに輝く金色から目が逸らせない。すると、向こうの方からこちらに歩みよってきた。
彼女は私の目の前に立ち塞がると、はじめてその唇を動かした。
「……フフ、何が起きてるのかわからない、といった顔つきだな、"オリジナル"。」
「……?!」
オリジナル、確かに今彼女はそう言った。
それはつまり、
「あなたは……お前は一体何者だ!!」
私の姿をした何者かに未だ動揺しつつ、口調を強めに神童が一歩前へ踏み出し、私よりも前へ躍り出た。
「何者か、だと?見てわかるでしょう……私はお前達が先輩と呼ぶそいつだ。」
神童の言葉に愚問だ、とでも言うように気だるげな表情を浮かべながら、す、と緩やかな動作で白い指を私の方へ向けた。
「……よくわかった、要は私が招いた面倒事ってわけね。まったく味な真似を……その格好ってことは、エルドラドからの刺客ってことか。……よりによって私に"私"をけしかけるなんて。」
私が一番向き合うことを嫌う相手をぶつけてくるとか、喧嘩を売られたとしか思えない。
ならば、私がそれを買うしかない。
皆の方に向き直り、深く頭を下げた。それに一気にどよめく後輩達を代表して、神童が私に頭をあげるよう促した。
「皆ごめん、私の落ち度だ。」
「そんな、先輩謝らないでください……!!」
「……なんとなく分かったんだ。なんで私の存在が消されたか。」
多分、あの"私"がいるからだろう。
あの"私"を"本物の私"に置き換えるために、私を消したんだ。
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弓女雅零(プロフ) - こっちにも来ちゃいました(笑)やっぱりこの小説好きですっ!! (2019年2月25日 17時) (レス) id: fc748f73ac (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - リアトさん» リアトさん、はじめまして!コメントありがとうごさいます!ご指摘ありがとうございます!確認次第訂正いたします! (2019年2月15日 20時) (レス) id: a67af18030 (このIDを非表示/違反報告)
リアト(プロフ) - こんばんは。いつも展開をドキドキしながら読ませて頂いてます。ところで誤字報告を少し。>「確かに何人か俺にチョコらしきものを私に来た女子がいた。」これは「渡し」ではないかと思いまして報告させて頂きました。次話、お待ちしております。 (2019年2月15日 20時) (レス) id: 809030045e (このIDを非表示/違反報告)
七瀬真昼 - 分かりました!!というか返信してくれてありがとうございます!毎回毎回ご丁寧に…。私だったら返信しないまま放置ですよ多分。そういえばふと思ったんですが、次のイナオリで子文くんの正体が明らかになりますよね!見当ついてるけど…ゆきさんは分かりますよね! (2019年1月27日 17時) (レス) id: 60ce0b2030 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 七瀬真昼さん» 七瀬さんコメントありがとうございます!リクエスト、大変ありがたいお話なのですが、私事で大変申し訳ないのですが、モチベの関係で受け付けてないんですよ…本当にごめんなさい…でもバレンタインのお話は元々書く予定でしたので、そちらの方を是非見て頂ければ… (2019年1月27日 17時) (レス) id: a67af18030 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆき | 作成日時:2018年12月17日 23時