菊一 episode:1 ページ1
暗い水の中にいる。
其処は時間の感覚なんかなくて、ただ...ひたすらに孤独な場所でした。
episode1:【菊が花開く】
「山鳥毛一文字と申します。刃文がまるで山鳥の産毛を並べたような細やかな模様になっているために、こう呼ばれました。無銘ではありますが、何卒宜しくお願い致します。」
眼が覚めればそこはいつもどうりn...ゑ?
何処ですか此処、さんしょうもういちもんじ?
聞いたことのない刀剣の名前ですね、この紹介の仕方は刀剣乱舞でしょうか?
「初めまして、山鳥毛。僕は来馬、ここの審神者だよ」
「貴方が主ですか。所で…そこの御方はどなたですか?」
審神者だという男は、近侍に長谷部くんを指定しているようだ。
けれど、友好的な感じではなく、完全なる主従関係のような…有無を言わさず断ることが出来ぬ何かが陰で蠢いている。
現に、彼の後ろには瘴気のようなどす黒い得体のしれぬものが彼にへばりついており、時折意味のわからない呻き声を発している。
「彼はへし切長谷部。今日の僕の近侍さ。長谷部、山鳥毛に本丸内を案内してもらえるかな。嗚呼、もちろんあそこは行ってはいけないよ?危険だからね」
「…主命とあらば」
彼の顔に希望はない。
此処が台所、此処が浴場…と、私に教える時に見えた顔は諦めの色が浮かんでいた。
「すまないな新人」
「何故貴方が謝るのでしょうか。私が伺うに、闇はあの審神者でしょう?」
長谷部は中庭に面した廊下でそう私に言った。
その顔には、声色には、申し訳なさそうな…いえ、悲しそうな雰囲気が漂っていた。
「お前がいくら非道い目に遭っても、俺には助けてやることが出来ない…。あの審神者は言霊を使う!逆らうことはできない…縛られたならもう終わりだ…….悪いことは言わない、この本丸から出て行った方がいい。俺にできるのはこうした助言だけだ……」
「縛られたなら、何をされるのですか?」
「…暴力、刀解は当たり前。容姿が美しいものには夜伽を命じる……今迄、沢山の刀剣が穢された!!」
眼を見開く。そんな酷なことを命じていたのか、あの審神者は!!
我々は位は低くとも神の端くれ…粗末に扱えばどうなるのか分かっているだろうに。否、知っていて、それが出来ぬよう縛っているのか。
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緑雨 - 応援しています (2016年12月11日 15時) (レス) id: 5e89d0674e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冬祁 | 作成日時:2016年12月10日 0時