6-5 すれ違いのち不運 ページ41
風呂敷は解けかけ、中から先程買った薬の包みと包帯が飛び出かけていた。
「よいしょっと」
しっかり風呂敷の中に仕舞い込み、自分の背中にくくる。
と、荷物のあった傍にカラフルな粒が落ちている。
「お?五色米じゃん」
なになに、とAは解読していく。
内容を理解し、ふー、と息を吐いてから顔をあげたAはニヤリと笑った。
「これは落ちたなあ……」
伊作は不運でどうやら大変な目に遭っているらしい。
好きで好きで、どうかしてしまいそうなくらいほどの忍たまに、自分のかっこいい所を見せる大チャンス到来である。
「よっと」
Aは躊躇いなく崖から飛び降り、木々の中に飛び込む。
生い茂る木の中で、比較的幹の太い丈夫そうなところへ着地した。
(おっと……流石に10キロ算盤を持ってるとよろけるなあ……)
緑の木の葉の影に隠れながら、耳を澄ませる。
キィン……と僅かに金属音が聞こえた。
(あっちだな)
気配を完全に消して、音の方へと木から木へと飛び移っていく。
「……っ!」
崖から落ちた先で、伊作は自分を囲む4人のドクタケ忍者と間合いをとって睨み合っていた。
握る苦無に自然と力が入る。
「どうした忍たま、降参する気になったか?」
「そんなわけ、うわあ?!」
1歩下がった足で石につまづき、後ろにひっくり返るように体勢が崩れる。
「隙あり!」
「ぐ、!」
傾く身体に飛んできた手裏剣を苦無で弾き、そのままバク転して勢いのついた足で近づいてきたドクタケ忍者を蹴り飛ばす。
着地が綺麗に決まったは良いが、「いたっ!?」伊作の頭には、自分が蹴りあげて舞っていた小さな石ころが当たった。
(うう、どうしよう、Aは五色米の暗号に気づいたかな…)
店から出た伊作は、向こうでうずくまって動けないおじいさんがいる、助けて欲しいと声をかけられ、言われるがまま道から外れた茂みの方へ着いて行った。
だがそれは罠で、変装を解いたドクタケ忍者と、茂みに隠れていたその仲間に囲まれてしまったのだった。
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加糖雪(プロフ) - 乃花おむ子さん» 乃花おむ子さんこちらにもコメントくださりありがとうございます!ギャグに自信ないのですが笑っていただけて嬉しいです〜!こちらの作品はかなりゆっくりの更新になりますがよろしくお願いいたしますm(_ _)m (2021年9月25日 18時) (レス) id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
乃花おむ子(プロフ) - めちゃめちゃ面白くて笑いながら読んでしまいました……!無理のない程度に更新頑張ってください! (2021年9月24日 7時) (レス) @page27 id: 3538425ae0 (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - まーぶりんさん» まーぶりんさんコメントありがとうございます!楽しんで頂けている様で何よりです…!応援ありがとうございます。今後も何卒よろしくお願いいたします! (2021年5月21日 20時) (レス) id: 22bc115167 (このIDを非表示/違反報告)
まーぶりん(プロフ) - ウッ…凄く好きです…!!ホント主様の文才が神すぎて…!更新楽しみにしてます( ゚д゚)頑張ってくださいー!! (2021年5月20日 17時) (レス) id: 045921842f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:加糖 雪 | 作成日時:2021年5月12日 22時