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「それじゃあ清八さん、ありがとうございましたっ!」
「こちらこそ。焼き魚ご馳走様でした。若旦那によろしくお伝えください!」
「はい!」
町の近くで清八と別れ、Aは荷物を背負って駆けた。
「ごめんください!」
「ああ、ちょうど良いところに。算盤の修理がさっき終わったところでね」
「ほんとですか。ありがとうございます!」
ジャストタイミング。
内心で小さくガッツポーズをしながら、代金を払い、重さ10キロ、鋼の算盤を受け取る。
もう一度礼を言い、Aはいよいよ伊作の元へと急いだ。
清八さんに助けてもらったこともあり、そんなに時間は経っていないはずだ。
伊作の言っていた店の前まで来るが、伊作の姿はない。
(まだ中で見てるのかな)
店の中を覗くが、伊作はいない。
「ありゃ……?」
すれ違ったかな、と思いながら、ざっと店の周りを1周してみたり、戻ってきた店の前でしばらく待ってみたり。
「うーん……」
しかし伊作には会えない。
ここに来て不運が発動してしまったようだ。
「すみません、さっき俺と同じくらいの男の子来ませんでしたか」
伊作がいるはずだった店の中へ今度はしっかり入って、店主のおじいちゃんに声をかける。
「ああ、桃色の服の子かい」
「はい。多分その子です」
「それなら、だいぶ前に包帯を買って出て行ったけどねえ…」
「ふむ……ありがとうございます。もしまた来たらここに留めておいてください」
「待ち合わせかい?」
「はい。なんだかすれ違ってしまったみたいで」
では、と礼をして再び店を出る。
(包帯は買えたんだな……それじゃあ不運が起こりそうな方を探索すれば………)
店を出て真っ直ぐ歩き、そのまま道を外れて茂みの中へ。
(この先は人目につかないし崖があるし。不運要素満載なんだよねえ……すぐ近くが賑やかな町なのに)
「!」
しばらく茂みの中を進み、崖が見えたところで、草むらの中にくぼみが見えた。
近づいてみれば、そこには柔らかい草を押さえつけるようにして伊作の荷物が沈んでいる。
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加糖雪(プロフ) - 乃花おむ子さん» 乃花おむ子さんこちらにもコメントくださりありがとうございます!ギャグに自信ないのですが笑っていただけて嬉しいです〜!こちらの作品はかなりゆっくりの更新になりますがよろしくお願いいたしますm(_ _)m (2021年9月25日 18時) (レス) id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
乃花おむ子(プロフ) - めちゃめちゃ面白くて笑いながら読んでしまいました……!無理のない程度に更新頑張ってください! (2021年9月24日 7時) (レス) @page27 id: 3538425ae0 (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - まーぶりんさん» まーぶりんさんコメントありがとうございます!楽しんで頂けている様で何よりです…!応援ありがとうございます。今後も何卒よろしくお願いいたします! (2021年5月21日 20時) (レス) id: 22bc115167 (このIDを非表示/違反報告)
まーぶりん(プロフ) - ウッ…凄く好きです…!!ホント主様の文才が神すぎて…!更新楽しみにしてます( ゚д゚)頑張ってくださいー!! (2021年5月20日 17時) (レス) id: 045921842f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:加糖 雪 | 作成日時:2021年5月12日 22時