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私は顔を上げて雑渡さんの横顔を見る。

目だけしか見せていないその顔は、何を考えているのか読み取れない。



「…そんな大事な話、私にしていいんですか。極秘情報とかじゃないんですか」

「今の話を聞いて最初の言葉がそれか…」



そんなことを言われたって、それ以外に思うところがないのだから仕方ないだろう。




「全く…」と独りごちながら雑渡さんは目を伏せた。



「君をそんな風にさせた原因の、その一部を罪として私が勝手に背負ったんだ。
だから、君を少し助けてやりたいと思った。幸い、忍術学園とは交流があったんでね」


一部からは良い目で見られていないとかなんとか言っていたじゃないか、と軽口を叩けるほど雑渡さんとの距離は近くなくて、言うのは辞める。





「私じゃなくても、良かったんじゃないですか」





純粋な疑問と、少しの皮肉を混ぜて雑渡さんに問いかけると、雑渡さんは目を見開いて驚いたように私の方を見た。



雑渡さんは私の顔を見るばかりで、返事がなかなか無い。
今のじゃ伝わりにくかったかと言葉を付け足して言い直してみる。



「奇襲が起きてしまったことにあなたが、失礼ですけどおこがましくも責任を感じているというのなら、その罪滅ぼしの為に助けるのは、私じゃなくても良かったんじゃないですか」


「…」


「…沈黙は肯定、でしたっけ」





「…違う。君は、」





「組頭〜!!」

雑渡さんが言いかけた言葉は、足下の方から聞こえてきた声に遮られた。

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作者名:加糖 雪 | 作成日時:2021年4月6日 16時

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