きっと息をやめるまで 2【RKRN】 (ページ41)

今日:3 hit、昨日:19 hit、合計:57,689 hit

3 ページ41

「さっきも言った通り、私は忍術学園の先生や一部の生徒からあまり良い目で見られていなくてね。忍術学園の中に入ってどうこうするのは避けたいから、君を学園の中じゃなく外に置くことにした。

忍術学園のすぐ側に寝かせておけば、学園の誰かが君を見つけるか、君が目覚めて忍術学園を見つけるかするのは簡単だろう」

「…どうして」

私は思わず顔を顰めて、それを見られないように俯く。

雑渡さんは迷っているのか、返事はたっぷり間をとってから返ってきた。

「…そうだな。強いて言うなら…罪滅ぼし、かな」

雑渡さんは言葉を選ぶようにしてゆっくり話し始める。

「タソガレドキは君の村が巻き込まれた戦に関与していなかった。

…表面上はね。

水面下では君の村からすると敵側にあたる城に軍資金を支援していたりして……手助けをしていた。

けどこちらにとって旗色は悪くなる一方でね。

何せ戦好きの城と城の、謂わば城主がお互い趣味で繰り広げたような戦いだ。

そんな戦で楽しい思いをした城主たち以外に誰が得するわけでもない。

戦が続けば続く程、関わったり巻き込まれたりした側は失うものばかりだった。

物も金も……そして人も。

タソガレドキだけじゃなくこの戦に参加していたどの城も、あの戦を良く思っていない。

それでも戦に加わったのは、人付き合いであったり、たちの悪い取引を持ち出されたりして、渋々引き受けたから。

そしてタソガレドキ含め、戦に加担していた城は敵味方関係なくこれ以上戦を手伝うのは辞めよう、そしてなんとか戦を終わらせよう、と密かに手を組み、動き始めた。

…その矢先、敵側の一番大きな村に奇襲をしかけるという知らせがタソガレドキに入った。

それを知った時には、もう遅かった。

兵の手配も武器の準備も全て整っていて、あとは幕を切って落とすだけ＿

それを味方であるタソガレドキを含めた全ての城に伝えられていなかったのは、戦を止めようとしていることに勘づかれていたからだった。

それでも奇襲を食い止めなければと善処した。

けど…」

駄目だった、と雑渡さんはそこまでは口にしなかった。