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だが、それがまた何かしらの「迷惑」になりそうなことと、今すぐにはできないということを考えると、今から自分で勝手に学園内を散策した方が早い。
というわけで、私はおそるおそる障子を開けてみる。
差し込む陽の光がまぶしくて、思わず目を細めた。
絶対安静、とは言われたけど、部屋から出るなとは言われていない。
私がなにかトラブルでも起こさない限りは迷惑にならない…はずだ。
私は廊下へと足を踏み出して、障子を背にしたままゆっくり閉める。
「…はあ」
私は深呼吸をした。
晴れていて、気温も丁度よく、美味しい空気が肺に染み込む。
「よし」
この部屋から最短で学園の外に出られるのはどこだろう。
私が初めに見た＿＿あの大きな門。
(あの門がこの近くにあるといいけど…)
その場からぐるりと辺りを見回してみるが、塀は見えるものの門は見当たらない。
そりゃあそうだ。
忍びの学園で門のすぐ近くに長屋を置くなんて、そんな設計にはまずしないだろう。
とりあえず右に行ってみるか、
「…っ」
そう足を踏み出した時、頭がくらりとして、意識が大きく揺れた気がした。
気の所為かなと思いながら次の1歩を踏み出すが、身体がふらついて気の所為なんかじゃないとわかる。
そのまま、地面が迫ってきた。
(倒れる…)
何が何だかよく分からないけど、身体が言うことを聞かなくて対処ができない。
私はゆっくり目を閉じた。
しかし、私の身体に触れたのは冷たい床じゃない。
「っと、大丈夫ですか？」
頭上から声が降ってきた。
その声で、私に伝わるこのあたたかいのは人の体温であることを理解する。
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作者名：加糖 雪 | 作成日時：2021年4月6日 16時
