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「山田先生、土井先生」
庵を出ようとしたところで呼び止められた二人は「学園長先生」と振り返る。
「Aと部屋が近いところになるなら、彼女にこれを渡してくれ」
そうして差し出されたのは、紙と筆。
学園長先生はもともと、これから彼女と行動を共にすることが多くなるであろう山本シナ先生に頼もうとしていた。
だが既に新野先生と一緒に少女のいる医務室へ向かった後で、部屋に残っていたこの二人に頼んだのだ。
文を出すのはきっと早い方が良いだろうから。
山田先生がそれを受け取りながら「いいですけど、何に使うんですか」と問いかける。
「彼女が引き取ってもらったと言う家に、しばらく忍術学園で預かるという文を出そうと思うのじゃが、彼女自身からの文も一緒にあった方が良いと思ってのう」
「たしかに、学園からのだけじゃなくて本人からの文もあれば向こうは心配しなくて良いでしょうね」
土井先生は頷いた。
「じゃ、よろしく頼む」
はい、と声を揃えて返事をすると、2人は庵を出ていく。
学園長とヘムヘムだけが残された庵。
「……彼女の居場所は本当にあるのかどうか…」
「ヘム?」
「さて、少し休憩して茶でも飲むかのう」
「ヘム!」
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作者名:加糖 雪 | 作成日時:2021年4月6日 16時