5 ページ7
私の見間違いでなければ、ここに、この門の札に、「忍術学園」と書かれている。
どうしてこんな奇跡が起きているんだろう。
昨日の夜、流れ星は流れていなかった。
じゃあ神様が叶えてくれたって言うのか。
もうなんでもいい。
ここが忍術学園なら、なんだっていい。
私は震える手で扉を叩いた。
力を込めたはずなのに私が思うより力はなかったらしく、扉を叩いた音はコンコン、というよりはトントン、ととても軽い音だった。
それでも扉のすぐ向こうに人がいたみたいで、すぐに「はあーい」と間延びした声が聞こえてきた。
夢じゃなければいいな。
あまりに疲れすぎてて見ている幻覚とかではありませんように。
祈るような気持ちで、私は目の前の扉が開くのを見ていた。
「お客様ですね。入門票にサインをお願いします」
扉から出てきたその人に、筆を渡される。
私と同じくらいの歳に見える彼は、胸に「事務」と書かれた布を貼っていて、
「…って、あれ?えっ大丈夫ですか?」
それから___
どしゃっ、と何かが崩れる音がした。
目の前を転がる筆を見てやっとそれが自分が倒れた音なのだと気がつく。
「だ、誰か!」
事務の彼の声がずっと遠いところで聴こえる。
今度こそもう目が覚めることがなくて良い。そう思えた。
神様ってば、願いをいっぺんに叶えるなんて、強引だなあ………
117人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「忍たま」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
加糖雪(プロフ) - Hanakoさん» ありがとうございます!^^ (2021年4月25日 21時) (レス) id: ac64387404 (このIDを非表示/違反報告)
Hanako - 面白い!! (2021年4月17日 18時) (レス) id: 1d8bf8714f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:加糖 雪 | 作成日時:2021年3月31日 9時