21 君に名前を ページ19
「みんなお疲れ様サマンサ〜！ってあれ？早めに切り上げちゃった感じ？」
「いや、それが…」
「ん？」
「こんぶ」
「Aが絵に熱中しちゃって」
「あー…」
呪霊を描いていた。
クロッキー帳だから本格的なデッサンを描くことは難しく、己の手が擦れて紙は鉛筆の炭で黒くくすんでしまいがちになる。
それでもできるだけ写実的に。この目で見える雰囲気を画面上でも表現できるように。
「A〜？聞こえてる〜？」
次にクロッキー帳の紙の上から呪霊の方へ視線を滑らせると、すぐ目の前に横になった五条先生の顔があった。
「っえ、あ、五条先生」
捻っていた体を真っ直ぐ戻し、五条先生は「やっと気づいた？」と笑う。
「びっくりした……」
「いやいや、びっくりはこっち。みんなちょっと騒いだり声をかけたくらいじゃ気づかないって驚いてたよ？」
続けて真希先輩も、
「全くだ。私らに気がついても“あと少し”ってすぐ絵の方に戻るし」
みんな心配というか、呆れに近い顔をしている気がした。
私が絵を描き始めて一体どのくらいの時間が経ってしまったのだろう。
検討もつかないのが恐ろしい。ただ、空を見ると地平線に近い雲が薄くオレンジがかっていて、もうすぐ夕暮れが訪れるのだと直観した。
「……すみません」
五条先生は私の目の前にしゃがみこんで、ちらりとクロッキー帳を見た後、上目遣いに私の顔を覗き込む。
目隠しをしてるけど、なんとなくこちらを見ているということが分かる。
「で、なんで呪霊を描いてたの？」
五条先生の大きい体で、少し遠くの呪霊の姿はすっかり隠れてしまった。
「描いたら、呪霊のことが何か分かるんじゃないかと思ったんです」
「描いてみて、何か分かった？」
「…それが、なんにも……」
「そう。この呪霊のことは憑かれた本人にしかわかんなかったりするし、Aがそうしたいと思ったなら止めないけど」
「でも、鍛錬の方が先ですよね」
私を責めまいとしているのか、返事は「まあ」だけだった。
「…今日、呪霊自身がはっきり、私の呪力が目当てで憑いてきたんじゃないって言ったんです」
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reia(プロフ) - 加糖雪さん» ありがとうございます！(*^^*)もちろん、無断転載や改変などはしません! (2022年3月2日 17時) (
レス) id: 0d7a47aa6b (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - reiaさん» 保存のみでしたらしていただいて良いですよ。画像の複製、改変、転載(複製や改変したものを含む)等は禁止しておりますのでご注意ください。 (2022年3月2日 17時) (レス) id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - souさん» souさんコメントありがとうございます！今後も番外編に挿絵描いてもらう予定なのでお楽しみに〜！ (2022年3月2日 17時) (レス) @page32 id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
reia(プロフ) - 加糖雪さん» 挿絵の保存って大丈夫ですか？ (2022年3月2日 16時) (レス) id: 0d7a47aa6b (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - reiaさん» reiaさんコメントありがとうございます！挿絵はこれからも番外編にちょこちょこ入れる予定なのでお楽しみに…！ (2022年3月2日 14時) (レス) id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星藍 海 | 作成日時：2022年2月11日 2時
