男前で困ります。 ページ9
ハルちゃん宅に着いたのはそれから数分してから。
ハルちゃんをここに届けたらミッション完了。
インターホンに手が届かず押せないので頭突きをする。
ピーンポーン
『よし、鳴ったぜ』
謎の達成感に浸っていると足音が聴こえてくる。
半透明な窓を覗くと人の影がドアを開けてくれた。
開いたドアの隙間から顔を覗き、私だと解ると驚いた顔でドアを開かせた。
開けてくれたのは母親と思えない位若く(見えるだけと言うと怒られる)のスポーツマンっぽい黄髪の女性。
ハルちゃんのママだ。
「かっちゃん、君のお家はお隣よ?」
かっちゃんと言うのは私のアダ名である。私はすぐ否定した。
『違うよ。ハルちゃん届けに来たの!』
はい、と腕を伸ばしハルちゃんを差し出す。
「はいって......お姫様抱っこで来たの?」
『うん!』
元気よく返事すると「男前ね」と褒められた。
そうなのだ、私は学校からお姫様抱っこして帰宅した。
今朝の仕返しである←
それから、ジュース飲む?とお誘いが来たので二つの返事で応えた。
そして目の前にあるのは大好きなリンゴジュース。
よく遊びに来てるから好物も覚えられてる。
「それにしても大変だったでしょ?保健室にでも置いとけば良かったのに」
ストローで一口。ジュース美味しい。
『ううん!だって私皆よりすっごく強いんだから
六年生より力持ちなんだよ』
「そりゃあ凄いわ」
素直に驚かれてる事にふふんと得意気になる。それからハルちゃんママはでもねと続けた。
「かっちゃんも女の子なんだからすぐ抜かされちゃうよ」
『それなら私はもっと追い抜かす!』
「くっくっくっ頼もしいね
じゃあね......おばちゃんが良い事教えてあげよう」
『なになに!?何教えてくれるの!』
ハルちゃんママは色んな話を知っている。昔話とか星座の話とか毎回このセリフを言っては楽しませてくれるのだ。
何話してくれるのだろうとワクワクする。
ジュースも飲み干してしまうとおかわりを貰えた。
「勇気ってどんな感じがする?」
『勇気?』
「そう勇気」
なるべく深く考えずに思った事を述べた。
『火かな。根性メラメラー!!!みたいな感じがする』
そう言って両手を振ると私らしいと微笑まれた。
多分、誉め言葉だ。
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