双狐と新撰組

７匹 ページ9

▽総司▽




「色々聞くけど、ちゃんと答えてね？」




そう言うと２人は姿勢を正して僕の方を向く。




「２人は何でこんな時間に出歩いてたの？」


「行くところがなかったので、取り敢えず歩いてました。」


「家は？」


「家はありました。でもよくわからないまま歩き回ってしまったので何処にあるかわかりません」


「わからない？」


「はい。外に出たことがなくて道もわからず歩き回ったので」




１１歳で外に出たことがない、なんてことあるのかと僕は疑った。

でも、嘘をついているようには見えなかった。





「親は？」


「親、は…」




そう聞くと、琴音ちゃんは下を向いた。

代わりに壱音くんが口を開いた。




「母親…と言いたくはないですが、親は居ました。でも朝起きたら死んでました。」


「朝起きたら死んでた？」


「はい。なぜかは全くわからなかったんです。」




わからなかったって言うんじゃあ、それ以上亡くなったことに関して聞いても仕方ないかな。




「何で母親って言いたくないの？」





その問に、２人とも黙ってしまった。

僕が聞き方を変えようとした時、





「僕らは、あの人の道具だったんです。」




琴音ちゃんがそう言い、２人はぽつりぽつりと話し出す。

僕は何も言わず、２人の話を聞いた。

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