双狐と新撰組

２４匹 ページ27

「起きたけど壱音は寝てたから……。
誰かいるかなって思って来てみたの。」



「なるほどね。」



「そうだ琴音、手伝ってくれよ！
総司が作ったらしょっぱいんだよ。」




しょっぱい……？と首をかしげる琴音。

家事を無理矢理やらされていたのだから手伝うことなどたやすい。




「なにすればいい？」



「何なら出来る？」



「なんでもできるよ？」




袖をまくって準備は万端の琴音。

沖田と藤堂はそこで双子がやっとどういう生活をしていたのかを思い出した。

その頃を思い出してしまうのではないかと思ったが、琴音はそんな様子もなく。

勝手に手伝い始めた。

驚くほどに手際が良い。

二人と話ながらも手を止めることはない。

沖田がやりかけていた味噌汁を代わりに作って、しょっぱい味噌汁は回避された。




「ありがとね、琴音ちゃん。」



「助かったぜ！」



「どういたしまして」




膳を運ぶのは流石に無理だったので盛り付けまでを手伝った。

段々と皆起きてきて、壱音も土方とやってきた。




「琴音！
起きたらいなかったから吃驚したんだよ！」



「いねぇからって焦ってたぞ。
俺はそのせいで起こされたんだからな。」



「ご、ごめん……。」




壱音が琴音を勝手にいなくなっちゃ駄目、と叱る姿は兄ではなく母のようにも見える。



藤堂と永倉の魚の取り合いで騒がしかったり、琴音は味噌汁の味を褒めてもらったりと楽しい時間を過ごした。




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