47話 過去話 ストレス ページ47
強いストレス。
雅紀は理事長室の一件から前よりまして人を警戒するようになった。
心を許していた百合や井ノ原にも近づかない。
智たちの後ろに引っ付くこともなく、子供部屋の隅に座っていることが多くなった。
「ごはん食べに行こ？」
嫌だと首を横に振る。
部屋から出ることを拒む。
外部からの接触から逃げているようだ。
あの出来事が理事長の植草も気になり、頻繁に孤児院に足を向ける。
「百合さん雅紀の様子はどうだい？」
「……食事も食べてくれません。よっぽど怖かったのでしょうね」
深いため息。
「理事長……雅紀はここに来て一度も泣いていないんです……それが一番の心配です」
言葉も発せず、涙も感情も出さず、この小さな体にどれほど溜めて込んでいるのか。
智たちにも心を開き切っていない。
「……夜も眠らずに起きていることが多い様で」
体も心配になる。
ここにいる子供たちは誰も皆心に傷を負っている。愛されることを求めている。
雅紀にはそれがない。
差し伸べる手を払いのける。
小さな胸にどれ程の傷を抱えているのか。
皆は食堂に昼食を食べに行って静かな部屋に雅紀一人。
泣きながら同室の少年、剛が入ってきた。
その後を父親だろう青年がついてきた。理事長室で煙草を吸っていた男性だ。
壁に張り付いて小さくなる雅紀。
「もう少しここで我慢してくれ」
「もう少しっていつまで？父ちゃんとこに帰りたい！」
剛は父子家庭。出張の多い父と生活することが難しくてここに預けられていた。
父の仕事が落ち着くまでという約束で。
「我ままを言うんじゃない！」
叱られて落ち込む剛。
剛の父親が小さくなっている雅紀に気がついた。
「君はこの間の……元気になったかな？すまないね、うるさくして」
優しい笑顔だが小さく頷くことしか出来ない。
「剛、来週また来るからな」
帰りたいと駄々をする剛を残して父親は帰ってしまった。
部屋に2人。
剛は雅紀を睨んでいた。
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むつき(プロフ) - はじめまして。探してコメントを頂きとても嬉しいです。続Homeも始めました。お時間のある時に覗いてやってください。コメント嬉しいです。ありがとうございます。 (2014年11月23日 21時) (
レス) id: 4345b608cc (このIDを非表示/違反報告)
あやち(プロフ) - はじめまして。HOME読ませて頂きました。以前読ませて頂いたのですが、保存等を行っておらず、お礼を伝えることが出来ませんでしたが、やっと見つけた!!読ませて頂いた時、涙が止まらなかったです。兄弟って素敵だなって思いました、素敵な作品ありがとうございました (2014年11月23日 18時) (レス) id: 6dc0a1d5bc (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - 翠さん» 翠さん。涙には心をキレイにする作用があるらしいです。いっぱい泣けるようにいいですよね。今日は次男さんのお誕生日ですね。っと言うことで大量更新します！ (2013年1月25日 21時) (レス) id: 75d4746b37 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - 翠さん» 翠さん、コメントありがとうです。兄弟たちに支えられる絆が表現できたらと奮闘中です。 (2013年1月25日 19時) (レス) id: 75d4746b37 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - アリスさん» アリスさん、私のほうがいつもお話を読ませていただいて号泣させて頂いています。つらい過去もみんなと共であれば前に進める、そんな話を書きたいと日々精進中です！ (2013年1月23日 18時) (レス) id: 75d4746b37 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むつき
| 作成日時：2012年12月30日 17時
