17話 素性不明な子供 ページ17
孤児院に少年が保護されて一週間が経った。
今もまだ何も話さず、少年の素性は不明のまま。
状況から見ると親に置き去りにされた『捨て子』であるのは確かだ。
彼の素性がわかるまでこの孤児院で面倒を見ることになった。
起しかけていた肺炎の方も落ち着いて、医務室から子供部屋に移動になる。
この孤児院では子供4.5人を一部屋で共同生活をしていた。
「この子はどこの部屋に入れましょうか？」
話すことも他人の接触を恐れる少年。
同じような年齢の子供と一緒にするのは、少し難しく思われた。
見た目は4.5歳の少年。
同じ年代の子供たちの中で言葉なしで協調し合えるのだろうか。
兄のように甘えられる存在が必要ではないかと、孤児院を施設長であるシスター山岸は百合に相談を持ちかけた。
「あなたはどう思う？」
「……私は智と翔、2人と同じ部屋にしてはどうかと思います」
少年を発見したのは2人だ。
毎日のように医務室に顔を出す2人に心を許しているようにも感じられた。
「少し年上の2人ならあの子を守ってくれるのではと私は思います」
「そうね。智と翔ならあの子の心を融かしてくれるかもしれないわね」
「シスター山岸、後一つあの子の名前ですが……」
「ないのも困るわね。いい名前を考えてくれますか？」
小さく山岸に礼をすると少年のいる医務室へ迎えにいく。
大きめのノックをして、少年に自分の存在を教えてからドアを開けた。
「顔色が良くなったわね？」
ベッドに座る少年に手を伸ばす。
「しばらくここで暮らすことになったの。あなたのお部屋に行きましょう」
顔と手を幾度か見て、少年はそっと手をつなぐ。
「一人部屋じゃないけど、みんながいるから寂しくないわよ」
コクリ小さく頷く。
小さな手の先は冷たくて緊張しているのよう。
一つの部屋の前に2人は立ち止まると、ここですよとノックをする。
ドアを開けると智と翔、あと2人の子供がいた。
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むつき(プロフ) - はじめまして。探してコメントを頂きとても嬉しいです。続Homeも始めました。お時間のある時に覗いてやってください。コメント嬉しいです。ありがとうございます。 (2014年11月23日 21時) (
レス) id: 4345b608cc (このIDを非表示/違反報告)
あやち(プロフ) - はじめまして。HOME読ませて頂きました。以前読ませて頂いたのですが、保存等を行っておらず、お礼を伝えることが出来ませんでしたが、やっと見つけた!!読ませて頂いた時、涙が止まらなかったです。兄弟って素敵だなって思いました、素敵な作品ありがとうございました (2014年11月23日 18時) (レス) id: 6dc0a1d5bc (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - 翠さん» 翠さん。涙には心をキレイにする作用があるらしいです。いっぱい泣けるようにいいですよね。今日は次男さんのお誕生日ですね。っと言うことで大量更新します！ (2013年1月25日 21時) (レス) id: 75d4746b37 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - 翠さん» 翠さん、コメントありがとうです。兄弟たちに支えられる絆が表現できたらと奮闘中です。 (2013年1月25日 19時) (レス) id: 75d4746b37 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - アリスさん» アリスさん、私のほうがいつもお話を読ませていただいて号泣させて頂いています。つらい過去もみんなと共であれば前に進める、そんな話を書きたいと日々精進中です！ (2013年1月23日 18時) (レス) id: 75d4746b37 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むつき
| 作成日時：2012年12月30日 17時
