13話 四季の幼馴染みたち ページ13
岸谷ガラス工房から聞こえてくる笑い声。
店先を覗き込む2人。
四季の幼馴染みである酒屋の次男坊タケルと新聞屋の長男孝太。
この2人、実は四季のことが子供の頃から好きで、突然町に引っ越して来て四季の気持ちも持っていった潤が邪魔でならない。
なんとか婚約を破談にさせたくていつも様子を伺っている。
「……さっき潤とおばさんが入っていったけどさ……シスターって呼んでたな」
「シスター？あぁそれって母親だぜ」
孝太は聞いたことがあるとタケルに教える。
「あそこの兄弟、全員血が繋がっていないんだと。孤児院？みたいなとこで育って、そこのシスターて呼ばれる人の養子になったって聞いたな」
「どこの馬の骨かわからない奴に四季を持っていかれると思ってたけど本当に言葉の通りなんだ」
「それって男の嫉妬？」
2人の後ろから声が聞こえてきた。
振り向けば潤の兄、雅紀がニコニコして立っていた。
「ん？どうしたの、2人とも。ん？」
前に潤たちに悪さをして殴られたことがあった。
2人にとって雅紀は恐怖の人間。
「いやいやいや、なんでもないです。俺、ビールの配達を頼まれていたんだ」
タケルが逃げ出す。続いて孝太も。
「俺も仕事あったんだ」
2人の姿が消えるのを見届けて雅紀はガラス工房から家に入っていく。
「こんちわ〜来ましたよ〜」
陰口は小さい頃から呟かれ慣れている。が、兄弟が的になると話は別だ。
邪念を払ってからカメラをガラスたちに向ける。
色とりどりのガラスたち。太陽の光を浴びて七色に輝く。
「綺麗だな……」
時を忘れてシャッターを押し続ける。
「雅兄」
呼ばれるまで隣にいたことに気が付かなかった。
「……潤ちゃん……綺麗だね。ガラスがキラキラしているよ」
「ん、そうだな」
綺麗な物を綺麗と素直に言える雅紀を潤は尊敬していた。
雅紀の言葉には、おせいじとか余計な褒め言葉は一切ない。
だから作品にたいする評価は誰より正しい。
「もう帰れるの？シスターは？」
「今、来るよ。……病院はどうだった？」
「暖かくしろってさ」
「そっか……」
「という訳で今日は温かい鍋が食べたいよ」
「それ賛成ですよ」
ニッコリとシスターが笑っていた。
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むつき(プロフ) - はじめまして。探してコメントを頂きとても嬉しいです。続Homeも始めました。お時間のある時に覗いてやってください。コメント嬉しいです。ありがとうございます。 (2014年11月23日 21時) (
レス) id: 4345b608cc (このIDを非表示/違反報告)
あやち(プロフ) - はじめまして。HOME読ませて頂きました。以前読ませて頂いたのですが、保存等を行っておらず、お礼を伝えることが出来ませんでしたが、やっと見つけた!!読ませて頂いた時、涙が止まらなかったです。兄弟って素敵だなって思いました、素敵な作品ありがとうございました (2014年11月23日 18時) (レス) id: 6dc0a1d5bc (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - 翠さん» 翠さん。涙には心をキレイにする作用があるらしいです。いっぱい泣けるようにいいですよね。今日は次男さんのお誕生日ですね。っと言うことで大量更新します！ (2013年1月25日 21時) (レス) id: 75d4746b37 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - 翠さん» 翠さん、コメントありがとうです。兄弟たちに支えられる絆が表現できたらと奮闘中です。 (2013年1月25日 19時) (レス) id: 75d4746b37 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - アリスさん» アリスさん、私のほうがいつもお話を読ませていただいて号泣させて頂いています。つらい過去もみんなと共であれば前に進める、そんな話を書きたいと日々精進中です！ (2013年1月23日 18時) (レス) id: 75d4746b37 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むつき
| 作成日時：2012年12月30日 17時
