不安3 ページ35
ゆきside
着替えて荷物を持ち、机の上に置いてあった鍵を掛けて被服室を後にした。
零さんのことだからまだ部室の棺桶の中にいるだろうと見切りをつける。
私は被服室から出ると職員室まで向かった。
コンコン
『小桜ゆきです。被服室の鍵を返しに来ました。』
そういうと先生が出てきて鍵を受け取ってくれた。
部室に戻って零さんに家に帰るか聞きに行こうかと思ったが今はあの人に会う気分ではなかった。
〜自宅〜
そのまま家に帰ってきていつも通りお風呂に入ってご飯を食べて明日の支度をして寝るだけとなった。
未だ零さんと釣り合わないのではないかと考えている。
零さんは眉目秀麗で気遣いもできてもうこれ以上無いほど完璧な彼氏なのだがそこがまた私を不安にさせた。
零さんにはきっと私よりも素敵な人がいると思う。
今はまだ出会ってなくても私よりもお似合いな人がいると思う。
もしかしたら私がいるからそういう人を見つけられてないかもしれない。
『契約…切ろうかな。契約を切って今の…恋人の関係も切ってしまえば零さんは幸せになれる。』
ちょっとした気の迷いだったのかもしれない。
けれどここで何もせずに後悔はしたくないので明日、契約を切って別れる旨を伝えることにした。
〜翌朝〜
気が重い。
本当は別れたくないけれど零さんの幸せを願うならここで諦めなければならない。
契約を切っても私は何とかしていける。
他に守ってくれる人を見つければいいし、見つからなくても自分の身は自分で守れる。
『もう、時効なのかな。この関係も…』
もういいやと思っている自分もいる。
零さんと楽しかった思い出があるから、それでもう十分だから別れてもきっと後悔はしないって諦めてる自分もいる。
別れを告げるためにいつもより早く家を出た。
〜部室前〜
時間が早いせいか校内にはほとんど誰もいない。
勇気を出して部室に入った。
相変わらず棺桶が置いてあるだけで誰も居ない。
『朔間先輩、いるんでしょう?』
すると棺桶の蓋が開いた。
いつもなら眠たげに目を擦りながら「こんな時間にどうしたのかえ?」と呑気に聞いてくるのだが今日は違った。
零「その呼び方…どうしたんじゃ?」
棺桶から出てきた零さんは驚いたような顔をしていた。
『私たち、別れよう?』
零さんの表情は余り変わらなかったがその赤い瞳には衝撃と絶望の色が混ざっていた。
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菜梨沙(プロフ) - こちらこそありがうございました! (2021年12月17日 22時) (レス) id: 599078c8b4 (このIDを非表示/違反報告)
リザ - 確認しました!ありがとうございました! (2021年12月17日 21時) (レス) id: 7d40fe1e08 (このIDを非表示/違反報告)
菜梨沙(プロフ) - 申請承諾させて頂きました。こちらこそよろしくお願い致します! (2021年12月16日 7時) (レス) id: 599078c8b4 (このIDを非表示/違反報告)
リザ - たった今申請させていただきました!不束ですけど、よろしくお願いいたします! (2021年12月14日 23時) (レス) id: e5970c383e (このIDを非表示/違反報告)
リザ - こちらこそよろしくお願いいたします! (2021年12月14日 22時) (レス) id: eca4b22de3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこ | 作成日時:2021年12月5日 17時