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「念願の!!!東京観光!!」
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隣でキラキラという効果音、その通りの表情を浮かべる虎杖。
「…やっと…、やっと!!」
そういう私も、実は1週間も前に服を決め終えた程浮かれまくっていた。
「ね、ジ〇リ、好き?」
「?好きだぜ!小さい頃、じいちゃんの膝の上で見てた」
もののけ姫が昔は怖かったんだよなぁ〜、
と、昔を懐かしむ。
当時はまさか、自分が将来この似た道に進むとは思いもしなかっただろうに。
「ちょっと離れたところに美術館あるからさ、ご飯食べたら行こう?」
「おー!いいな!」
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「最後は、やっぱり……?」
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「…これが、タピオカ」
「…うん、美味しくないわけじゃないけど、」
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「「期待しすぎた」」
周りに人がいないこともあり、思いっきり大笑いする。
「っ、まじで、…はっ、…ふ、はぁ、」
お互いの地元をどこか感じる、少し緑のある公園。
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遊具は降りだした陽を、眩しいくらいに反射していた。
「…っ、東京観光って事で来たけどさ、こっち来て結構経ったよね」
「…だな、早いわ」
目線が合わない。
彼が前を向いているからだ。
「最近、怖いんだよ」
「時間の流れが、」
「皆と居る時間があっという間でさ、」
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「今日を、後悔のない過ごし方が出来たか、とか」
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「でも俺、そうやって毎日を大切に凄そうって、本気で思えたんだ」
「なんでだろうなぁ、やっぱ俺」
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「死ぬからかな?」
時が止まった様に感じた。
否、感じたではなく、きっと本当に止まったんだと思う。
それと同時に、ある点に気づく。
「私は?」
「…ん?」
虎杖が、毎日を大切に過ごそうって思えた理由に、私は居ないの?
我ながらとてつもなく面倒臭いやつだなぁと思う。
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「それは、大前提だろ」
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____当たり前だから、
でも、その当たり前も、
いつかは全部消えて
無くなっちゃうんだろうな。
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作者名:もちのあじ | 作成日時:2021年2月7日 23時