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「Aｯ」
ハンマーで頭を殴られるなんて、軽いもんだ。
後頭部に鈍い痛みが走る。
既にボロボロの四肢に、この衝撃。
まるで当然電池が切れた人形の様に、ぱたりと倒れる。
目を開いて、駆け寄ってくる虎杖になんとも言えない申し訳なさが湧き上がってくる。
苦痛に歪んだ虎杖の顔はどう足掻いても、私のせいだった。
.
あぁ、またこんな顔をさせてしまった。
「大丈夫、そう、息をして、ちゃんと」
「A、大丈夫、俺が」
溢れる血の出処を必死に抑える虎杖。
床に広がる血液の量から、自分がもう助からないのは明白だった。
「ダメｯだ、逝かないでくれよ」
「…虎杖」
どくどくと自分の脈を感じながら、声を絞りだす。
「”助かる人”の所に」
ね、
と、
この人はどこまで良い人なんだろう。
＿最後のワガママ、聞いてよ
·
その言葉を聞くと、学ランを徐ろに脱ぎ、汚れるだなんて一切気にせず、横たわる私にかけた。
·
走り出す体制をとる彼に、もうお別れかと悟る。
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振り向いた彼は精一杯の笑顔だった。
·
·
虎杖、私は正しい死に方が出来たと思うよ。
·
最期に、いい笑顔が見れたしね。
·
虎杖は駆け出した。
·
＿＿彼はどうやら、
·
私の最後のワガママを、
·
聞いてくれたようだった。
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作者名：もちのあじ | 作成日時：2021年2月7日 23時
