【文スト】文豪さん、反応記録帳。五冊目

＊貴女の精神が崩れていった ページ38

「頑張らなきゃ、もっと、もっと？期待、期待されてるもの」


中島敦
「Aさん、」
後ろから優しい声がする。
「ダージリン、入れましたよ」
ふわっと香る紅茶の香りに、先程まで頭を支配していた黒いモヤが隠れていく。
「僕は頑張ってなんて云いません」
彼の精一杯の心遣い。


太宰治
「ま〜たなってるよ！！」
とんっと貴女の肩を叩くと、意識がはっきりとする。
「君の周りの何が、そんなに君を追い詰めているんだい」
『それは…』と、控えめに出た声に、つい心の声が盛れてしまっていた！と後悔する彼。
「私は死なない限り、君の傍に居るよ」


国木田独歩
「気を張ってばかりでは上手くいかん」
テキパキと貴女から物を奪い取って、毛布、クッション、白湯、加湿器を準備する。
「お前は、休む事が悪いと思っているのか？」
あくまでも優しく声をかける。
「なら、お前の今の仕事は休むことだ」


福沢諭吉
「既に頑張っている」
彼の心地良い香りと共に肩に掛かった羽織。
「それは、この私が保証しよう」
大きな手が背中を摩る。
まだまだ頑張らないとという気持ちは消えないのに、今までの自分の頑張りをきちんと認めてあげたくなる。


江戸川乱歩
「君さ、よくそんなに頑張れるよね」
カラカラとビー玉がラムネ瓶に当たる音が響く。
「僕からしたら、とっっっっってつもなく頑張ってるけど」
さらりと放たれた言葉に拍子抜けして、瞬きを忘れる。
「期待とか、自分の都合のいい事だけで良いんだよ」

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