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「裏切られた青年の姿……可哀想な奴ら」
「此処で逃げるワシや無いでぇ…」

なんか凄い強い絶不調の獣使いを相手にするのは正直言って2人だけでは辛かった。二人ともレベルは五十ちょっとだし、回避低い刃だし。攻撃を受け流せは出来るものの、オダサクと俺も此の儘ではジリ貧なので降臨を待つ他無かった。

でもこれ以上ダメージを受けると耗弱になり兼ねないし、この有碍書から帰れると言う保証は無い。
安吾と中也も来てくれなければ、この状態ではキツかった。

……それにぃ?さっきの?変な四人も居るしぃ?

初対面の美男を一発で気絶させて尚且つ起こせる女ってどんな女だよ。
うちの司書も変人だけど其処までいってないよ。

「太宰クン、危なっ……!」

オダサクの焦った声と一緒に来た深い攻撃。

「へあっ……いって!」

ついボーッとしていたら攻撃を食らってしまい碌に防御も出来なかった。おまけに、降臨ゲージが溜まったのは良いけれど同時に体力を半分以下まで削られてしまった。
これは不味い。とんでもなく不味いぞ。

こっちの奴らの増援を呼ぼうにも、他の奴らは皆『炎上する嫉妬心』や『排除する嫉妬心』に手一杯だ。どれも参号だし此奴ら文士でも無いしそりゃそうだけど……!

「何すんねん!!」

オダサクも攻撃を受けて体力ゲージを半分以下まで削られた。でも降臨はギリギリの所で溜まらず、2人同時に「あっ」と呟いた。
そしてまた繰り出される絶不調の獣使いの攻撃。避けきれないと悟り、この後に来る耗弱状態と痛みに目を瞑った瞬間だった。


「異能力____『浮雲』」

地面から赤黒い荊のような物が出て来て絶不調の獣使いと他の敵会派の連中を絡め取った。侵蝕者達が暴れ出す前に、その荊が侵蝕者を押し潰す。
背後から砂利を踏む音に気配がしたので其方を振り向くと、さっきのもっさり眼鏡がフラつきながら立っていた。

そして、血色の悪い唇で言葉を紡ぐ。

「オレの異能力は、荊が触りオレが指定した物を全て無に帰す。其奴らは無かった事になる。
記憶も、物も、化け物も、人間だって……」

ふらり。
さっきの荊を出したと思われるもっさり眼鏡は、力無く地面に倒れこんだ。

つまり、話から察すると先程此奴は錬金術か何かで侵蝕者を消したのだ。なら何でさっき使わなかった。そうすれば此処の被害は小さくて済んだろうに。
そして俺達の武器は本に戻り、その本には「浄化完了」の四文字が書かれていた。


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作者名:雪寝 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/tekitouni  
作成日時:2023年10月3日 0時

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