五夜 ページ5
(壁……)
広い部屋なのに壁までの距離が狭すぎないか、この部屋の可笑しな構造のせいで逃げ場が直ぐになくなってしまう。いや、志麻さんの誘導が上手いからなのか。
そんなことを考えている間にも距離は縮まっていて、彼の無駄に整った顔が目の前にあり思わず息をとめてしまう。
志麻さんは私の顔の真横に手を置く。
彼の熱を孕んだ紫に射抜かれれば、本格的に逃げることが出来なくなってしまう。
「俺にもやってみせてや、浦田さんを落としたAの巧みな技。」
空いている片手が畳に着いていた私の手を絡めて恋人繋ぎになる。
「いや、どういうことかさっぱり…」
一体志麻さんに私のことはどういう風に伝わっていたのだろう。さっきから彼は浦田さんを落としたとか言っている。
もしかして、あの“本気になった“っていうやつだろうか？
あれは浦田さんの
まさか本当に、そんなことって有り得る…？
「……教えんっちゅうなら自分で調べるけん良いけど。」
答えない私にそう言えば私の背中と膝裏に腕を回し、一気に抱き抱えられる。
「え、え、ちょっと待ってください！」
突然のことに驚き、じたばたと暴れてみるもがっちりとホールドされている腕から逃れられない。
すると突然投げ捨てられて、身体が宙に浮く感覚にぎゅっと目を瞑り身構えるも、落ちたところは柔らかく、痛みもなくこの場所が布団だと気づいた。
屏風で仕切られ、2つの布団が並ぶ既視感のあるここは、昨日も大変お世話になった所謂“寝所“でなんだか嫌な予感がして慌てて身を起こす。
ここに連れてきた当の本人はきっちりと着込んでいた仕掛けから袖を抜き、着物を気崩して肌の露出を増やしていて、頭がパニックになる。
「え、ちょ、志麻さんなんで…」
とん、と肩を押されればぐるりと視界が回って背には布団、目の前には天井という“押し倒された“ということを察するに十分な情報を得た。
パニックの中起き上がろうと身じろぐも、両腕を布団に縫い止められて動けない。
「…おしげりなまし、ってどういう意味かわかっとったん？」
「んえ？」
突然投げかけられた質問に面食らって間抜けな声が出た。
おしげりなまし、とはさっき若衆さんが言っていた言葉か。
疑問に抱くも聞き流したその言葉の意味は知らず、素直に首を振る。
「あれは、着物も布団も互いによく濡らしなさい、ってことなんやで。」
「…濡らす、って」
「つまりそういうことやなぁ？」
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はる - 初コメ失礼します!!この小説大好きです!!これからも頑張ってください!!応援しています!! (11月30日 9時) (
レス) id: 41084e4d77 (このIDを非表示/違反報告)
藍瑠(プロフ) - すいさん» すいさん、読了とコメント、ありがとうございます〜！更新は不定期ですが、皆様のご期待に応えられるようコツコツ頑張りたいと思いますので、今後ともよろしくお願いします^ ^ (2022年10月13日 0時) (レス) id: 52af00e4b1 (このIDを非表示/違反報告)
すい - 一気読みさせていただきました〜！！めちゃくちゃ面白いです！！続きお待ちしてます！！ (2022年9月18日 0時) (レス) @page6 id: 7c45a007b1 (このIDを非表示/違反報告)
藍瑠(プロフ) - がむしろさん» ありがとうございます！とても励みになります！これからも応援よろしくお願いします(^^♪ (2022年5月28日 15時) (レス) id: 52af00e4b1 (このIDを非表示/違反報告)
藍瑠(プロフ) - 翔さん» いつもお読み頂きありがとうございます！更新コツコツ頑張りますねι(｀･-･´)/ (2022年5月28日 15時) (レス) id: 52af00e4b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藍瑠 | 作成日時：2020年5月9日 10時
