一振目「真っ白な貴方」 ページ3
いやいやいや、まだ死にたくない、生きたいんですが、というか…
貴「私はまだ、死ねない…絶対、絶対に…やらなきゃいけない事が…成し遂げなきゃいけない事が…あるのに…」
腰の鎖に下げた小袋にそっと触れる
こ「審神者様…?」
っ…!駄目だ、これは誰にも話しちゃいけない、知られちゃいけないんだ…絶対に
貴「あ、あはは、ごめんごめん、何でもないよ」
こ「左様でございますか…わたくしからは何も聞きませんのでご安心下さい、そうでした、審神者様、結界の張り方をお教え致します!」
貴「結界…?」
こ「はい!審神者様なら誰しもが持つ霊力を使って結界を張るのです!貴方様程の膨大で質の良い霊力を持つ御方であればその結界の強度もまた強固な物になるかと!」
貴「ふむ…それで、結界を張るにはどうすればいいの?」
こ「はい、まずですね…」
こんのすけの説明はすごく分かりやすくて一回目で上手くいった。
こ「おぉ…!これ程の強度であれば刀剣男士様の攻撃も凌げるはずにございます!」
…ん?待って?攻撃?あ、やっぱり?刀振り下ろしてくるやつ???
貴「…ッ…!」
その現実を知った、受け入れた途端、途端に身体に力が入らなくなり震えも止まらなくなる。
目の前がグラグラして、嫌な汗が噴き出す。
こ「審神者様…?審神者様!?如何為さったのですか!?」
貴「ゎ…い…」
こ「…?」
貴「怖…い…嫌だ…刃物は…いや…怖い……いや…」
こ「だ、大丈夫でございますよ!審神者様には結界が張られております!斬られることはないですよ!」
怖い、違う、その刃が自らに迫るのが、その刃が私の身を裂くのが怖いんじゃない、違う、違うんだ。
でもそんな思いは声にはならず、ただただそこに蹲ってガタガタと震えるしかなかった
そんな時だった
「おいおい、妙に懐かしい霊力を感じて来てみれば…こりゃ驚いたな、君、どうしたんだ」
上から声が降りかかる
声のした方向へ俯いていた顔を上げればそこには真っ白な人が門の上に立っていた。
どうして…私とこの人は初対面のはず、なのにこの姿…どこかで、どこかで見た様な、知っている様な気がしてならない。何故…?
こ「鶴丸…国永様…」
こんのすけの口から漏れた名を聞いて驚愕した
鶴丸、国永…?それは…その名は…
貴「先祖様の…お刀の名…」
「先祖?…まさか君、五条国永の子孫か?なるほどな…道理で初対面だというのに懐かしいと思う筈だ…」
と真っ白な貴方は私に微笑みかけた
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作者名:蝉時雨 | 作成日時:2019年9月15日 15時