太陽と月の恋事情【あんスタ】

二人のシンデレラ　5 ページ10

楽しい時間とはあっという間なもので、気づいた頃にはもう日付が変わりそうな時刻だった。




A「あっ……もう行かないと。」




マオ「もう？」




A「はい、門限なので……ではっ。」




マオ「あっ、おい今＿＿＿」




後ろで何か聞こえた気がするけど、振り返らなかった。




もう会えない。




そう思うと、胸が苦しくなったから。




つかの間だったけど、本当に楽しい時間だった。




A「アンズ！そろそろ帰らないと！」




アンズ「あっ！？ほんとだ！

ごめんねスバル王子！」




スバル「もう行っちゃうの？」




アンズ「うっ……

ああでも行かないと！じゃあね！」




元気に言ってるように見えて、アンズはうっすら涙を浮かべてる。




きっと、アンズも辛いんだ。




でも、仕方がない。




所詮、身分が違うんだから。




お伽話は、叶わぬまま終わるのが定説。




明日からまた、居候姉妹に戻らないと。




胸に残るもやもやを消し去るように、馬車に飛び乗った。




・




A「……なんとか間に合ったね。」




アンズ「うん。……ってあれ？」




A「どうしたの？」




アンズ「ブレスレットがない。」




A「え？

もしかして落とした？」




アンズ「かも知れない……

まあいっか。」




いいんだ。




苦笑いすると、自分の私物にも異変があることに気づく。




首元を触ってみると、ない。




A「あ……私はネックレス落とした。」




アンズ「え！？」




さっきマオ王子が言いかけたことって、これのことかな。




二人で顔を見合わせて、同時に吹き出す。




アンズ「さっすが私達。

舞踏会に忘れ物とか貧乏臭ハンパないねっ。」




A「否定できない。」




アンズ「明日からも頑張ろっか！」




A「……うん！」

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