自由人 46 ページ48
安心感のせいか、私はその場に座り込んだ。
『お、どかさない……でよ。』
過呼吸を直そうとしても、うまく呼吸できない。
いのり「ごめん。そこまでびっくりするとは思わなくて……
たまたま後ろ姿見つけたから追いかけただけなんだよ。」
『ああ…そうだっ、たの……』
とりあえず、拉致じゃなくてよかった。
国見「………お前さ。」
国見が、怒ったように私の前にくる。
国見「そんなに怖いんならなんで一人で行こうとしたわけ?」
………………………あ。
『皆で行くのアリなんだっけ。』
いのり「逆になしだと思ってたの?」
国見「そんな危ないことさせるわけないだろ。
もしこれが本当に拉致だったらどうするつもりだった?」
正論を言う国見に、何も言えなくなる。
確かに、そうだ。
今回はいのり達だからよかったものの、本当に拉致されてたら………
『………ごめんなさい。』
国見は、それを教えるためにあんなことをしたのかも知れない。
人に面と向かって心配されたことがなかったから、謝るのが少し恥ずかしい。
そのまま小さくなっていると、国見は私の腕を掴んで立たせてくれた。
国見「もういいけど、そのかわりはぐれんなよ。」
『………うん。』
国見が私の左手を、いのりが右手を握る。
私は笑って、二人の手を握り返した。
・
(そういえば、金田一は?)
(置いてきた。)
(説得力。)
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作者名:紺野いろは | 作成日時:2016年12月26日 18時