第6話『我妻善逸』 ページ8
善逸side
俺、嫌われてんのかな。
普通説得しない…?仲間なら。
『大丈夫ですか?』
善「いや大丈夫じゃないです俺仲間に見捨てられてそんで置き去りにされてほんとゴミなんですよ俺なんてどうせ」
なんか天使みたいな声聞こえるし。
ついにこんな弱腰の俺に天から迎えが来たんだな。神様にまで見放されたんだ俺。
無気力な口から何も考えなくとも零れるようにすらすらと出てくる弱音。
『…君は、鬼殺隊ですね。』
善「?!?!??」
気力は全く無かったが、鬼殺隊、の言葉に少し顔を上げる。
…。
は?超絶可愛いんだけど。
善「えぇぇぇぇぇ?!!」
あまりに可愛くてつい飛びのいた俺。この天使さまはまたすっと近寄ってきて、立ち上がれない俺に目線を合わせるようにゆっくりと屈んだ。
待って待って待って。
天使ってか、女神だよこれもう。
『何をしているんです?』
聞いたことのないくらい優しい音がするし。
彼女の言葉で、今自分が置かれている状況を思い出した。
炭治郎と伊之助と、那田蜘蛛山の任務のはずだった。
直前まで来て怖気付いた俺に呆れて二人だけで山に入ってしまったのだ。
善「何もしてません。もはや何をする気もありません...どうしようもないですよね俺。」
『.....今この瞬間、那田蜘蛛山で貴方と同じ隊士達が血を流していることをご存知ですか?』
善「...俺は、弱いから行っても絶対すぐ死ぬし…」
そもそも行ったって、足手纏いにしかならないことも分かってるんだ。
『…死ぬことが怖いですか?』
善「はい...とてつもなく怖いです。だって俺はめちゃくちゃ弱いから…」
なんの返答もない。
ん…?
なんか今空気が変わったような…
ひんやりとした風がつーっと吹き抜けた気がした。まるで雪夜に吹くような鋭い冷気。
ほんの一瞬、冷ややかな大気に覆われた感覚に陥る。
『そうですか。君には構っている価値がないみたいです。』
彼女の冷めた声が頭上から聞こえ、我に返って顔を上げたが、もう遅かった。
善「ぁ……」
彼女はもうどこにもいない。
俺は、呆れられたんだ。
せめて、せめて名前だけでも聞いておけばよかったなぁどうせ俺死ぬんだし…
炭治郎...
善「……っあーー!!!まずいまずいまずい!!もうっ!!バカバカバカァァ!!このままだと俺のいないところで炭治郎達と出会っちゃうぅぅ!!いやァァァ待ってぇぇぇ!!!」
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はくせつ(白雪) - 更新早くてスゴいです! (2021年5月23日 20時) (レス) id: b087d08761 (このIDを非表示/違反報告)
ひまわり(プロフ) - ゆきゆきさん» ゆきゆき様、コメントありがとうございます。そう言っていただけると嬉しく思います!頑張ります(^^) (2021年5月7日 11時) (レス) id: c795cb1005 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきゆき - こんにちは。とても面白そうな作品ですね。更新楽しみにしてます。頑張ってくださいね。 (2021年5月4日 17時) (レス) id: b087d08761 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひまわり | 作成日時:2021年4月30日 23時