42.“一緒に遊ぼう?” ページ43
千姫「薫を見たAは、笑ったんです。他の鬼がするような嘲笑ではなくて、
純粋な笑顔で。“一緒に遊ぼう?”って、薫に手を差し出した」
南雲「俺は最初、その手を取らなかった。アイツだって腹の底では嘲笑ってんだろって
思ったから」
薫は、膝の上で拳を震わせた。
千姫「それでも、Aは薫に話しかけた。何回も、何日も。何回断られても、諦めずに
ずっと。一週間くらい話しかけて、ようやく薫はその手を取った」
南雲「ただ嘲笑いたいヤツなら、こんなに何回も話しかけてこないと思ったから。むしろ、他の
鬼なら俺を蹴ったり殴ったりしてもおかしくはなかったからね」
千姫「Aは、自分の屋敷に戻ってからも、土佐の南雲家に遊びに行った。薫に会うために。
薫と遊ぶために」
南雲「俺はAのおかげで、また笑えるようになった。千鶴と引き離されて、俺はずっと
憎しみの感情しか持ってなかった。でも、Aが俺を変えてくれたんだ」
薫は顔を上げた。
その瞳は澄んでいて、何かを懐かしむような表情だった。
南雲「Aは、俺がこれ以上酷い扱いを受けないように、南雲家に言ったんだ。南雲家は
風間家よりも位が低いから、風間家の姫であるAに逆らえなかった」
千姫「でも、昨年Aが部屋に引きこもるようになってから、南雲家は再び薫を虐げるように
なった。薫は、南雲家の奴等に隠れて修行していた剣術で、南雲家を滅ぼした」
2人の説明が終わると、広間に沈黙が落ちた。
その沈黙を最初に破ったのは藤堂だった。
藤堂「なあ。なんでAは部屋に引きこもったんだ?」
純粋な質問だった。
他の幹部も思っていただろう。
しかし、その質問を受けた薫と千姫は、表情を消した。
千姫「それは、私達から話すことはできません」
南雲「Aが“殿”をつけてるってことは、話してないんだろ?俺達が勝手にしゃべって
いいことじゃない」
突然の豹変に、幹部達は驚きを隠せていなかった。
再び沈黙した広間に、パタパタと小さな足音が聞こえてきた。
そして、勢いよく襖が開く。
全員の視線がそちらに向いた。
入って来たのは、千鶴だった。
千鶴「みなさん大変です!Aさんが、Aさんがお部屋に居ません!」
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沙夜(プロフ) - ふてんにぶおんぷさん» ありがとうございます! (2018年4月3日 7時) (レス) id: e978245002 (このIDを非表示/違反報告)
ふてんにぶおんぷ(プロフ) - 面白すぎますよおおお!読むの止めれません! (2018年4月3日 2時) (レス) id: 7ca422baae (このIDを非表示/違反報告)
沙夜(プロフ) - 薄桜鬼LOVEさん» ありがとうございます!やっと更新再開で、続編も出しました!お待たせ致しまして、本当に申し訳ありません(>_<) (2016年2月6日 1時) (レス) id: 89126b3f93 (このIDを非表示/違反報告)
薄桜鬼LOVE(プロフ) - 続きが楽しみです! (2015年9月25日 13時) (レス) id: 53187fe964 (このIDを非表示/違反報告)
沙夜(プロフ) - フェリーナさん» すみません…ちょうど今受験前なので…。終わったら一気に更新します! (2015年9月13日 13時) (レス) id: 89126b3f93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:結月 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/annzuamenoheya/
作成日時:2013年3月21日 21時