21.拘束 ページ22
「ちょ、待ってくれよー!」
茶髪の少年は、先に歩いて行ってしまう2人の後を追おうとして、一度足を止めた。
くるっと振り返って、Aの手首を掴む。
「…悪いな。ついて来てくれ」
気まずそうに言う少年に、Aは無表情を保っていた。
貴方「…別に、構いません」
少年は少し戸惑っているようだったが、そのままAの手を引いて歩き出した。
“新選組屯所”と書かれた門を通り、中に入ると、すでに帰っていた2人と、もうひとり、
厳しい顔つきをした黒髪の男が立っていた。
「…平助。そいつを空き部屋に連れて行け」
黒髪の男は、それだけ言うと中に戻っていった。
あとの2人も、それに続くように奥に入っていく。
「…とりあえず、こっち」
Aの手首を掴んだままだった少年は、そのまま奥へと引っ張って行く。
Aが通されたのは、何もない小部屋だった。
中に入ったAに、少年が縄を持って近づく。
貴方「…縛るんですか?」
落ち着いた声で問うAに、少年は少し驚いていた。
「当たり前だろ?」
貴方「…私はあの風車を返してもらわない限り、ここから逃げませんよ」
「で、でもよお…」
貴方「…それとも、貴方方に害をなしていない私を不当に拘束するとでも?」
言いよどむ少年に、Aは淡々と言葉を紡ぐ。
しばらく言葉に詰まっていた少年だが、意を決したように縄を投げ出した。
「じゃあ縛んねーよ!そのかわり、絶対この部屋から出るなよ!」
少年はそれだけ言って部屋を出て行った。
翌朝__。
Aは通された小部屋で、静かに座っていた。
昨日から、一睡もしていない。
小窓から朝日が差し込んできたので、それを避けるように日のあたらない場所へと移動する。
しばらくして、足音が近づいてきた。
襖を開けて中に入って来たのは、昨夜の少年だった。
「…ちょっと来てくれ」
少年に呼ばれて、Aは部屋の入り口に立った。
しかし、それ以上動こうとはしない。
「?なんで出ないんだ?」
貴方「…貴方がこの部屋から出るなと言ったので」
「あー、…今はいいから」
少年の許可を得て、やっとAは部屋から出た。
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沙夜(プロフ) - ふてんにぶおんぷさん» ありがとうございます! (2018年4月3日 7時) (レス) id: e978245002 (このIDを非表示/違反報告)
ふてんにぶおんぷ(プロフ) - 面白すぎますよおおお!読むの止めれません! (2018年4月3日 2時) (レス) id: 7ca422baae (このIDを非表示/違反報告)
沙夜(プロフ) - 薄桜鬼LOVEさん» ありがとうございます!やっと更新再開で、続編も出しました!お待たせ致しまして、本当に申し訳ありません(>_<) (2016年2月6日 1時) (レス) id: 89126b3f93 (このIDを非表示/違反報告)
薄桜鬼LOVE(プロフ) - 続きが楽しみです! (2015年9月25日 13時) (レス) id: 53187fe964 (このIDを非表示/違反報告)
沙夜(プロフ) - フェリーナさん» すみません…ちょうど今受験前なので…。終わったら一気に更新します! (2015年9月13日 13時) (レス) id: 89126b3f93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:結月 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/annzuamenoheya/
作成日時:2013年3月21日 21時