第四話 ページ6
『ちょっと平助!つまみ食いしない!』
私が厨房で慌ただしく夕食の準備をしているところに、平助と左之さんが顔を出した。
ちなみに今日は山崎君が手伝ってくれている。
山崎君も最初こそは私の正体に驚いていたけど、今ではよく仕事を手伝ってくれたりして良くしてもらっていた。
彼曰く、「男として生活しているとはいえ、橘君は女性なのだから無茶をさせる訳には行かない。」らしい。
人を斬る業をしていて今更無茶もないだろうと思ったけど、それが彼なりの優しさだと思うと嬉しかった。
山崎「藤堂君、そんなことをしていると君の分のおかずが減りますよ。」
山崎君が味噌汁の味見をしながら横目で平助を注意すると、平助も慌てたように手を引っ込めた。
平助「ま、まだ食ってねぇよ!ただちょっといい匂いがしたから・・・」
しどろもどろになって答える平助が面白くて少し笑ってしまう。
その様子を見ていた左之さんも、平助の頭をくしゃっと撫でてその顔を覗き込んだ。
原田「平助、いくらAに構ってほしいからってつまみ食いは良くねえぞ。そういうのは真正面から言うもんだ。」
明らかにからかっている左之さんの口調でも、平助はかあっと赤くなり手足をばたつかせた。
平助「そんなんじゃねえよ!俺は別にAのことなんか・・・」
ちらっとこちらを見た平助と目が合う。
『・・・?』
こてんと首を傾げて疑問符を浮かべれば、平助はまた赤くなってすぐに目を逸らされてしまった。
藤堂「っ〜///俺、先に広間行ってっから!」
平助は口早にそう言うと、慌ただしく厨房を出て行く。
私はというとその行動の意味が分からず未だ首を傾げたままだ。
『何あれ・・・左之?』
平助の駆けて行った方向を眺めていた左之は私に視線を合わせると苦笑した。
原田「あいつも色々混乱してんだろ。俺たちもまだ斎藤に殺されたくはないんでな。」
斎藤さん?
全く話を飲み込めていない私を見て、左之はちょっと困ったように笑うと、さっきの平助にしたように頭をくしゃっと撫でた。
左之「お前が気にすることはねえよ。」
左之は私の頭から手を離すと、「じゃあな」と手を振って厨房から出て行った。
『ほんと、なんなの・・・』
取り残された私は魚が焦げ出す匂いにも気付かず、呆然と立ち尽くしていた。
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斎藤ようこちゃん(プロフ) - 私は…いつも応援してますよ〜。 (2014年12月15日 21時) (携帯から) (レス) id: 29bc6add98 (このIDを非表示/違反報告)
蒼奈(プロフ) - 斎藤ようこちゃんさん» 長らく放置ほんっとすいません。毎回言ってますね、これw反省していない訳ではないんですよ......?一応 (2014年12月15日 21時) (レス) id: 4dfc83dfd8 (このIDを非表示/違反報告)
斎藤ようこちゃん(プロフ) - 名前変えたんですね。素晴らしい作品です。続き楽しみです。 (2014年12月15日 8時) (携帯から) (レス) id: 29bc6add98 (このIDを非表示/違反報告)
蒼奈(プロフ) - 牙突さん» お気遣いありがとうございます。頑張ります! (2014年9月7日 9時) (レス) id: 898b29761e (このIDを非表示/違反報告)
牙突(プロフ) - 蒼奈さん» 亀更新でも気長に待ちますので無理の無いペースで頑張ってくださいね^^応援してます!斎藤さんも彩斗君もかっこいいです! (2014年9月5日 15時) (レス) id: cf81800781 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蒼奈 | 作成日時:2014年5月11日 16時