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6.その方はとても美しく ページ8

ーSIDE雪女ー






「おつかいを頼まれてくれないかしら」



そう、若菜様に言われたのは、朝食を食べ終わり、片付けをしていた時。


特に断る理由もなかったので、迷わずに頷いた。


鯉千様も一緒だし、正直楽しみだ。


優しくて美しくて、いつも飄々としている鯉千様は、問題児ではあるけど、皆から慕われている。


もちろん、私もその中の一人だ。


たんたん…と階段を登る。


若菜様いわく、鯉千様は部屋に戻られたとのこと。


けど、あの方は自由な人だから、まだいるとは限らない。


いなかったらどうしよう…


そんなことを考えながら、彼女の部屋の前に立つ。


小さく息を吸い込んで



「鯉千様、いますか?」


「………」



返って来たのは沈黙で。


どうしよう…何処に行ったのかしら…


必死に頭を回転させる。


一度逃がしたら、捕まえるのは大変だ。


それは、首無を見ていたら誰でもわかる。


いつもゲッソリした顔をしてるから。


とりあえず…もう一度声をかけてみよう…



「鯉千様ー?いませんかー?」


「…ん……だれ?」


「あ、つららです!」


「…つらら…、あぁ…もうそんな時間か」


「はい。大丈夫ですか?」


「んー。準備するから、ちょっと待ってろ」


「わかりました」



今度はちゃんと返ってきた返事に、ほっと一息。


あまり呂律が回って無かったから、寝起きなんだと思う。


ほんとに自由な方ね…



「くぁ〜…おまたせ。」


「いえ。大丈夫ですよ。」


「ん、じゃ行くか。」


「はい!」



部屋から出てきた鯉千様は、外出時の姿に変わっていた。


艶のある黒髪は首元で低く結ばれていて、緩めのズボンにTシャツと言う、ラフな格好なのに酷く美しく見える。



「つらら?どうした?」


「え、あ…なんでもないです!!」


「変なヤツ」



急に振り向いた鯉千様に、慌てて返事をする


”貴方の美しさに見惚れてました”なんて言えないっ!


あぁ、でも。本当に美しいな。


普段の姿の時も美しいではあるけれど、どちらかと言うと、カッコいいに分類されると思う。


それに対して、外出時の姿は、色っぽくて綺麗で、”女の人”って感じだ。


鯉千様のお母様もとても美しい方だと聞いたけど、まだ会ったことがない。


いったいどんな人なのだろうか?



「くくっ。つらら、なに考えてんだ?百面相してるぞ」


「えっ!?」


「可愛いなぁ、まったく。」



その言葉で赤面してしまったのは、不可抗力。









.

7.荷物持ち→←5.暫しの休息を…



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楸ヒナタ(プロフ) - 李桜さん» 面白いなんて…!ありがとうございます!嬉しい限りです!!これからもよろしくお願いします! (2016年2月1日 17時) (レス) id: 5a9f26663b (このIDを非表示/違反報告)
李桜 - 小説面白いッス!私も文才あったらなァ〜 (2016年2月1日 0時) (レス) id: 888568db42 (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - ゆーなさん» ミツカッタ…。行動が早いっすね。 (2015年9月14日 21時) (レス) id: 5a9f26663b (このIDを非表示/違反報告)
ゆーな - ミツケタ...... 。 これかな?これだよね? (2015年9月14日 21時) (レス) id: be54fb8e5e (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - 飛鳥さん» うわぁ!そんな事言ってもらえるなんて…凄い嬉しいです!!コメント、ありがとうございます!! (2015年8月14日 22時) (レス) id: 5a9f26663b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:楸 ヒナタ | 作成日時:2015年6月14日 17時

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