40.握った手の大きさに ページ43
ーSIDEリクオー
「……はぁ…」
校門に向かいながら、何度目かわからないため息をつく。
昨日は色々あって、まだ頭が混乱してるけど、分かっていることは、人の前で妖怪の話はあまりしない方が良いと言うこと。
”妖怪くん”なんて呼ばれていびられて、今日は散々な目にあった…。
今だって…
「どうしたー！？妖怪くん。乗らないのかーい？」
「やめときましょ！一緒に乗られたら妖怪に襲われるかもぉ！？」
「…………」
何も言い返せず、視線を落とす。
…情けないなぁ…
こんな時…お姉ちゃんだったら…
そんな風に考えていた時、近くの女の子達がコソコソと話しているのが聞こえた。
聞こえたと言っても断片的だけど。
でも、なんとなく興味を引かれて、僅かな人だかりができている方に視線を向けてみた。
不意に、壁に寄りかかる様にして立っていた人物と目があった。
「……え…！？」
綺麗に三つ編みにされた艶やかな黒髪。
妖しさを浮かべる金色の瞳。
ゆったりと着こなされた着物は、紫色で。
肩に引っ掛けている赤地に刺繍がされた羽織。
群青色の番傘をさして、不思議な雰囲気を醸し出しているその人は、とても見覚えがあった。
「……お姉ちゃん…！？」
「お、リクオ。迎えに来たぞ」
「…な、なんで…！？」
「なんとなく？」
いつもと変わらない緩いお姉ちゃんは、ニコリと笑みを浮かべて、僕の頭を撫でた。
その笑顔に、ホッと安心する。
心の重しが取れたみたいだ。流石お姉ちゃん。
「あれ、リクオくん…と…誰？」
「あ、カナちゃん」
少し離れたところで怪訝そうにしているカナちゃんを呼び寄せる。
今気づいたけど、周りからの視線が痛いな…。
まぁ、お姉ちゃんは美人だし着物着てるからね…
「お、可愛い子だね。名前は？」
「い、家長カナです！」
「カナちゃんか。
私はリクオの従姉妹の奴良鯉千。よろしくね？」
「あ…はい！」
可愛い子が好きなお姉ちゃんは、すぐにカナちゃんを気に入った様で。
良かった良かった。
「あ、そうだ。
リクオくん、このバス逃したら、次は30分後だよ！」
「あー…えっと、僕はお姉ちゃんと歩いて帰るよ」
「…大丈夫なの？」
「うん！平気！」
あまり納得のいかない顔で頷いたカナちゃんは、バスに遅れない様に走っていった。
「さ、私たちも帰ろうか」
「うん。」
握った手の大きさに、自然と笑みが溢れた
.
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楸ヒナタ(プロフ) - 李桜さん» 面白いなんて…！ありがとうございます！嬉しい限りです！！これからもよろしくお願いします！ (2016年2月1日 17時) (
レス) id: 5a9f26663b (このIDを非表示/違反報告)
李桜 - 小説面白いッス！私も文才あったらなァ〜 (2016年2月1日 0時) (レス) id: 888568db42 (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - ゆーなさん» ミツカッタ…。行動が早いっすね。 (2015年9月14日 21時) (レス) id: 5a9f26663b (このIDを非表示/違反報告)
ゆーな - ミツケタ...... 。 これかな？これだよね？ (2015年9月14日 21時) (レス) id: be54fb8e5e (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - 飛鳥さん» うわぁ！そんな事言ってもらえるなんて…凄い嬉しいです！！コメント、ありがとうございます！！ (2015年8月14日 22時) (レス) id: 5a9f26663b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：楸 ヒナタ | 作成日時：2015年6月14日 17時
