37.妖怪と人間の血 ページ39
.
「…じいちゃ…」
「…リクオ…?」
真っ青な顔で、僅かに震えているリクオ。
オイオイ…本当に大丈夫か?
倒れたりしねぇよな?
「どうしたリクオ…喜ばんか。
お前が欲しがっとったもんじゃろ」
「…え…」
「ワシの血に勝るものはない。
鯉千が拒んだ今、三代目の候補はお前しかおらん。
お前はワシによーく似とる。
本家の奴らもそれは十分承知」
「…おねぇちゃ…」
「さぁ、採決を取ろうではないか!!
リクオ…お前に継がせてやるぞ!
奴良組72団体…構成妖怪一万匹が今からお前の下僕じゃ!!」
揺れる瞳で私を見たリクオの顔は愕然としていた。
なんとなく察して、止めようとするも間に合わず、リクオは叫んだ。
「い…いやだ!!」
「何?」
「こ…こんな奴らと一緒になんかいたら、
「…リクオ?」
「妖怪なんか…こんな悪い奴らだって知らなかった!
おじいちゃんになんか…全然似てないよーーー!!」
ダッと飛び出していったリクオに、反射的に立ち上がる。
あーもー!
ジジイは空気が読めねぇから困る!!
「バカジジイが!!リクオの事を考えろよ!
これじゃあ嫌われても仕方ねぇぞ!!」
「なんじゃと…!?」
「リクオは人間と妖怪、二つの血の混じる子だ。
どちらに偏りすぎてもいけない!!
そこんとこ、もうちょっと考えろ!
リクオが泣いてたら承知しねぇからな!」
それだけ叫んで、リクオを追いかける。
後の事は鯉伴がなんとかしてくれるだろう。
まったく…ジジイの頭の中には妖怪の事しかねぇのかよ。
リクオの立場ってのをもっと知って欲しいもんだ。
純粋な妖怪のジジイや、妖怪の血の方が多い私には知らない、鯉伴やリクオ、それから父さんの悩みや苦しみ。
それをもっと理解してやらないといけないんだ。
今回は、私も悪かった。
もっとリクオを気にかけておけば良かった…!
「あ、お嬢!」
「おう、お前ら。リクオ知らねぇか?」
「…それが、庭に出たまま戻らなくて…」
「そうか。わかった」
…こんな時間に庭か…
風邪引いたら大変だな…。
さて…どうやって慰めるか…
.
121人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
楸ヒナタ(プロフ) - 李桜さん» 面白いなんて…!ありがとうございます!嬉しい限りです!!これからもよろしくお願いします! (2016年2月1日 17時) (レス) id: 5a9f26663b (このIDを非表示/違反報告)
李桜 - 小説面白いッス!私も文才あったらなァ〜 (2016年2月1日 0時) (レス) id: 888568db42 (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - ゆーなさん» ミツカッタ…。行動が早いっすね。 (2015年9月14日 21時) (レス) id: 5a9f26663b (このIDを非表示/違反報告)
ゆーな - ミツケタ...... 。 これかな?これだよね? (2015年9月14日 21時) (レス) id: be54fb8e5e (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - 飛鳥さん» うわぁ!そんな事言ってもらえるなんて…凄い嬉しいです!!コメント、ありがとうございます!! (2015年8月14日 22時) (レス) id: 5a9f26663b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:楸 ヒナタ | 作成日時:2015年6月14日 17時