34.無銭飲食 ページ36
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「でねでねー、聞いてよおじいちゃん!
皆んなびっくりしてた!”妖怪”のくせにねー」
ズルズルとラーメンをすすりながら、リクオの話に耳を傾ける。
邪魔になるからと言って、高く結んだ髪の毛がさらりと揺れた。
「はっはっはっ。そりゃケッサクじゃな。
妖怪のくせにビビっちゃいかんよなー。
見てみろ、リクオ。鯉千なんて小さい頃から反応が薄くて、ビビリもしなけりゃ笑いもしなかったぞ」
「それは褒めてんのかオイ」
確かにガキん時は反応が薄いだ無表情だと言われたけども!!
昔の話だろーが!!
わざわざリクオに聞かさなくても良いわ!
声をあげて笑うジジイをひと睨みして、再びラーメンをすする。
「ね!ね!これでボクに譲ってくれる?”三代目の代紋”」
「んーー?…後ちょっとじゃな…。もーちっと大きくなって妖怪らしくなったらな」
「ホント!?」
チラリと私を見て言ったジジイは何か言いたげな顔。
どーせ、お前は継がないのか?とか言いたいんだろ。
まだ、三代目を継ぐにはリクオは小さすぎるからな。
その分私は成人してるし、経験もある。
リクオが継ぐまでのあいだだけでも、とか言いたいんだろうけども、生憎三代目には興味がないもので。
縛られるのは嫌いなんだよね。
ってか、鯉伴いるじゃん。
「ボク、がんばるよ!!
頑張って”おじーちゃんやお姉ちゃんみたいな”立派な妖怪の
「リクオ…」
「ふはは頼もしいな」
お姉ちゃんちょっと感動したよ。
私みたいとか…可愛いこと言ってくれるね!
「ねー、でも妖怪ってホントにすごいの?強いの?
とてもそうは思えないけど」
あー…それ言っちゃう?
面倒くさい事になるぞ…
「なにを言うとるリクオ!!
わしの若かりし頃を知らんのか!!」
「聞かせて聞かせて!!その話スキー!!」
「…はぁ…」
…始まった…。
この話になると長いぞ、マジで。
これが好きって…リクオは物好きだな…
若干呆れながら、スープを飲み干す。
んぁ〜…ごちそうさま。
お腹も一杯になった所で席を立つ。
雄弁に語っているジジイに先行くな、と声をかけて店を出る。
あ、一応お金は置いてきましたハイ。
無銭飲食がダメとは思わないけど(←)外出時の姿は、逆に視線を集めるからな。
ぼんやりとそんな事を考えながら、家に向かうのは。
眩しい日差しのきらめく昼下がり。
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楸ヒナタ(プロフ) - 李桜さん» 面白いなんて…!ありがとうございます!嬉しい限りです!!これからもよろしくお願いします! (2016年2月1日 17時) (レス) id: 5a9f26663b (このIDを非表示/違反報告)
李桜 - 小説面白いッス!私も文才あったらなァ〜 (2016年2月1日 0時) (レス) id: 888568db42 (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - ゆーなさん» ミツカッタ…。行動が早いっすね。 (2015年9月14日 21時) (レス) id: 5a9f26663b (このIDを非表示/違反報告)
ゆーな - ミツケタ...... 。 これかな?これだよね? (2015年9月14日 21時) (レス) id: be54fb8e5e (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - 飛鳥さん» うわぁ!そんな事言ってもらえるなんて…凄い嬉しいです!!コメント、ありがとうございます!! (2015年8月14日 22時) (レス) id: 5a9f26663b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:楸 ヒナタ | 作成日時:2015年6月14日 17時