【ぬら孫】奴良家の問題児は今日も自由に走りまわっているようです。

33.悪戯っ子と問題児 ページ35

.






____関東平野のとある街、浮世絵町


そこには、人々に今も畏れられる「極道一家」がある






ぎゃぁぁぁあ！！！うわぁぁぁあ！！！


そんな叫び声が青空の下に響く。


もはや見慣れた光景となりつつあるソレを屋根の上から眺める。


今日の被害者はつららと青田坊、黒田坊。


仕掛け人は、ご察しの通り大きく成長した我が愛しの弟のリクオ。


あぁ、今日も可愛いねぇ…。



「おねーちゃーん！！見てー！！今日も成功したよーー！！」


「おー！流石リクオ！！それでこそ私の弟だ！！」


「やったぁー！お姉ちゃんに褒められた〜！！」


「ちょ、鯉千様！！見てないで助けて下さいよ！！」


「あはははは！！！」



番傘を肩にかけたリクオが、笑顔で手を振った。


実は、リクオに色々仕込んだのは私と鯉伴だったりする。


いやー、小さい子は飲み込むのが早くて面白いんだよな〜


他人の迷惑？知るかっての。


それが楽しいんだから仕方ない。


まぁでも、放ったらかしにするわけにもいかないからな。


助けてやるか。



「いよ…っと…」



屋根から飛び降りて、無事着地。


スタスタと本日の”獲物”の前に移動して、ニッコリと笑う。



「面白い事してるね、3人とも」


「何が面白いんですか！！助けてくださいぃぃ〜！！」


「そーですよ！！早くここから出して下さい！！」


「ハイハイ、分かったから焦るな焦るな。」



まずはつららからな、と頭に血が登ったのかグッタリとしているつららに近づく。


ザシュッと音を立てて綱を切り、落ちるつららを受け止める。



「くくくっ、大丈夫ですか？お嬢さん？」


「え、あ、りりり鯉千様！下ろしてください！！」


「えー、どーしよっかなー」


「そんなぁ！！困りますぅ〜〜！」



所謂、お姫様抱っこをすれば、顔を赤くしたつららがバタバタと暴れ出す。


まぁ、なんてことないんだけど。


少しいじれば素直に反応するから、それもまた面白い。


こんなんだから、リクオにも狙われるんだ。


地面に下ろすと、タタタと駆け足で逃げていく姿がまたいじらしくて…。


つららの背中が見えなくなるまで見送り、落とし穴にはまっている二人に視線を移す。


青ってば、昨日自分でこの穴を掘ったの気づいているのかな…。



「あの、鯉千様…」


「2人は私では手に負えないから、鯉伴にでも助けてもらってね」


「は、はぁぁああ！！！？」



本日二度目の叫びが上がった









.

34.無銭飲食→←32.序章

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す