【ぬら孫】奴良家の問題児は今日も自由に走りまわっているようです。

10.どうしようも無く緩む ページ12

ーSIDE鯉伴ー






「んー…つめたー」



感情の籠らない声で、鯉千が呟く。


こいつが今食べているのは、化け猫屋の新メニュー、”マタタビ抹茶パフェ”


無感動に呟いてはいるものの、味は悪くない…らしい。


事実、その顔には笑みが浮かんでいる



「機嫌が良いな。そんなに美味しいのかい？」


「んー、それもあるけどさ、生まれてくる従兄弟のこと考えたら、何してても楽しいって言うか…」


「気が早ぇな…。まだまだ生まれねぇぞ」


「くくっ、それでも楽しみじゃん。
だってさ、若菜さんの子供だよ？絶対カワイイでしょ！
私、溺愛しそうだな…」


「…ありえるな…。」



”あー楽しみだなぁ…”なんて、緩み切った顔で呟いている鯉千。


まぁ、鯉千自身一人っ子だし、楽しみなのはわかるけど…



「…その緩み切った顔は、どうにかしてくれ…」


「ん？」




化け猫屋にいるため、外出時の姿の鯉千は、言わずもがな、その美しさで多くの視線を受ける


まぁ、本人は慣れてるのか気にしてないけど


そんな鯉千が、とろけるような甘い笑みを浮かべてるもんだから、さらに多くの視線が集まる集まる。


無意識のうちに、ため息が漏れた



「幸せ逃げんぞ〜」


「お前なぁ…」


「なんだよ？」


「…なんでもねぇ…」



幸せそうな鯉千を見れば 、そんなことはどうでも良くなった


鯉千の美しさは、母・天姫から受け継いだ物だ。


その天姫は、美しさで男を惑わす妖だしな…


やっぱ慣れるしかねぇか。



「今日のお前は、変だぞ。鯉伴。
首無に怒られたか？」


「いや、別に。
そう言うお前だって、顔が緩みっぱなしだろ？」


「いやー、自分でも自覚してんだけどさー。
無意識のうちに緩んでいくんだよな…」


「お前さん、子供が好きなのかい？」


「子供…って言うか、可愛かったらなんでも好き」


「…鯉蓮とソックリだねぇ…」



こいつの、この性格は鯉蓮から来ているんだな…と。


昔あいつも、今の鯉千と同じ顔で、同じ事を言ったしな…。


親子は似るって本当なのか…


じゃあ、俺の子はどーなんだ？


俺に似たら、首無が過労死するかもな…。


なんか…あり得そうだから怖い…。


でも…、




「…楽しみだな」


「だろ！」




我が子の誕生ほど楽しみな事はねぇよな。









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